Marumaru's TinyPlaza

(2009.09.24)(movie)秒速5センチメートル

『秒速5センチメートル』


新海誠の新作映画です。公開されたのは数年前ですが、やっと観ました。

ネタバレをしてあらすじを語れば数行で終わってしまうし、ストーリーを語る事にあまり意味を感じないので、敢えてネタバレせずに観想を書きます。

最初はあらすじに沿った感想を書いていたんですが、あらすじを書いていて自分で痛くなってしまいました……。

多分、この映画は見る人によって感想が違うと思う。 というか、何を中心に据えて語るかが人によって違う作品。

”想いが、時間や距離を超える事だってあるかもしれない”という同じ新海誠作品の『ほしのこえ』で語ったテーマに対する答え的な内容だと個人的には思いました。

”どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。” この映画のキャッチコピーですが、これが全てです。

時間は流れています。自分にも自分以外の人にも。 思いを抱えたまま生きていく事は出来ますが、思いの先は常に過去の思い出。どれだけの速さを自分が持てたとしても、過去に辿り着くことは出来ません。

そして多分、思いを抱えて生きていく事自体が、心を削っていく事なんでしょう。痩せた心はどんどん感性を奪っていく。

エンドロールを見ながらふとそんな事を考えていました。

新海誠と言えば、映像、特に背景描写の美しさに定評がありますが、それは今作でも言えます。実写を元にした、実写より”きれい”なデフォルメ。こうあったら綺麗だろうな、という美しさがあります。

私はDVDで見ましたが、BlueRay環境がある人なら、BlueRayの美しさの試金石として棚に並べておける映画だと思います。

最後に、この映画は、映像もストーリーも現実・現代をテーマにした、きれいなきれいなファンタジー作品だと思いました。

誰しもが共感出来る記憶の中の断片を、美しく投影してくれます。投影した内容は否定も肯定もしてくれません。ただ、美しく投影してくれます。




<(2009.09.21)消防団 (2009.09.26)(music)電子の妖精>