Marumaru's TinyPlaza

(2014.01.09)(book)永遠の0

『永遠の0』/百田 尚樹


太平洋戦争でゼロ戦に乗って特攻をして亡くなってしまった祖父の事を調べる為に、姉弟が当時祖父と同じ艦隊で戦った人にインタビューをする形で進む話。

抜群の操縦技術を持ち、誰に対しても丁寧な態度で接し、戦争の最中において「生き残る為に戦う」「愛する妻の為に死ぬわけにはいかない」と言う信条を貫いた主人公の祖父。その祖父が最後には特攻で亡くなってしまった謎がインタビューや回想から徐々に明らかになっていきます。

相変わらずこの人の話は読みやすいです。テンポよく進む話、読みやすい言葉選び、何より読んでいてシーンが頭の中にずっと浮かんでいるんです。「海賊とよばれた男」を読んだ時にも思いましたが、ドキュメンタリー番組を見ているような感じで読めます。最終的な判断は読者に任せながらも、本人の言動と周りの登場人物の発言で対象を魅力的に描いています。

読み終えて、帝国海軍に焦点を当てて太平洋戦争を、前線で戦っている兵士の気高い志と司令部の兵士を駒として扱う理不尽さの対比を際立たせて書かれた本だと感じました。特攻をモチーフにしているけれど、特攻の是非を書きたい訳じゃなくて、特攻要員の人達を通じて、戦時下の人間模様を書いた本だと思います。

ちょうど今、映画が公開されているみたいですが、何となく映画より小説の方が面白そうな感じの話でした。そして、主人公の祖父のイメージが頭の中で完全にダイの大冒険のアバン先生でした。

余談ですが、去年に「艦これ」をプレイしていた関係で、作中の戦艦や戦闘機等の単語が実感として理解出来ました。空母の赤城さんが所属していた一航戦の練度の高さを本で読むとゲームの「一航戦の誇り」と言う台詞が納得出来たり、ゲームで猛威を振るった甲標的が実際に戦う場面と強さの理由が書かれていていたり、爆撃機の新型「彗星」や攻撃機の新型「天山」の強さをゲームを通じて実感で知っているから状況がスムーズに入ってきたり、etc……。

心情描写を中心に平易な文章で書かれているとは言え、戦闘機等の描写についてはどうしても固有名詞と性能の描写が増えてきますが、艦これで名前を知っていて実際のプレイで使っていたおかげで、余計に物語に入り込む事が出来ました。人生、何が糧になるか分かりません。ただ、戦艦の名前を見た時に擬人化された女の子の方が先に浮かんでしまうのは良かったのか悪かったのか分かりませんが。




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