Marumaru's TinyPlaza
(2014.05.23)(book)『トッカン』シリーズ
『トッカン―特別国税徴収官―』/高殿円
『トッカンvs勤労商工会』/高殿円
『トッカン the 3rd おばけなんてないさ』/高殿円
少し前にはまって、一気読みしたシリーズ。本当は一冊ずつ感想を書きたかったんですが、3冊まとめて書きます。
特別国税徴収官(所謂、トッカン)である上司の鏡を補佐する立場(トッカン付き)に配属された新米国税徴収官、鈴宮の物語。
和菓子屋の娘に生まれ、税務署からの強引な取り立てられて苦しめられている父親を見ていた鈴宮が、その苦しい境遇を体験しているが故に安定した暮らしを望んで公務員試験を受けたが、配属された先は両親を苦しめた税務署と言う運命の悪戯で、それがきっかけで両親との仲が悪く……って言う件を読んだ時には少し前に流行った「半沢直樹」を思い出しましたが、調べてみるとそれぞれ原作小説1巻目の初出はトッカン:2010年6月、半沢:2004年12月。……トッカンの方が後でした。
このシリーズの見所は、少しドジだけと根は熱い主人公・鈴宮(通称:グー子)とクールだけとたまに甘いところを見せるツンデレ上司である特別国税徴収官・鏡の恋愛模様と鏡の過去、それと話自体の面白さです。
3冊の感想を一言ずつ書いてみると、
1巻
トッカンと言う職業の面白さと、複数の案件が同時進行している始まり方で掴みはOK。色んな案件が膨らみながら進んでいくなか、案件自体その内容を伏線として綺麗に収束させ、なおかつ鏡との関係を描いた構成力が魅力。普通に面白い一冊の小説として興味を持ちました。
(2014.05.23)(book)上流階級 富久丸百貨店外商部
『上流階級 富久丸百貨店外商部』/高殿円
前回に読んだトッカンが面白かったので、同じ作者の本を続けて読んでみました。
この本は百貨店の女性外商さんのお話。畑違いの職場から百貨店に転職し、女性ならではの感性で展開した企画がヒットしたのをきっかけに、男性の職場である外商の世界に配属された主人公、鮫島静緒がカリスマ外商である前任者からの引継ぎを通じて、成長していく話です。
外商と言う商売は非常に少ない富裕層が多大な売り上げをもたらす部門。その富裕層に対してものを売るためには何が必要なのか?と言う視点で進む話が面白かったです。タイトルにもなっている上流階級の人々と言うのは、お金には困っていない人々。その人々が百貨店の外商からものを買う理由。百貨店の看板に求めるもの。そして外商さんの通じて流れる時間の中に存在するロマンス。
最初は「外商さん」と言うあまり馴染みのない世界に引きずり込まれて、途中から「この話、どうやって風呂敷を畳むんだろう?」と心配になりましたが、本当に綺麗に終わっていました。主人公の成長物語、そして上司である外商さんの想い、周りの人間関係。が上手く収束した大団円でした。
途中の「愛には、敬意はないよ」と言う、主人公へ向けての一言が印象に残りました。文脈抜きで一文だけ抜粋すると物語的な意味は通じませんが、文章そのままの意味として、納得したので記しておきます。確かに、尊敬は突き詰めると「教わりたい」「~してもらった」と言う事に行き着くので、無償の愛情とは違った一方通行の片思いなのかもしれません。
読み終わって、この作者って女性主人公の活躍を描くのが上手いなぁ、と思って調べてみると女性の作者でした。そう言われて今まで読んだ話を思い出してみると納得しました。それに、もともとはライトノベルで沢山のシリーズ、著書がある人みたいです。と言うか、ライトノベル以外の一般レーベルで出しているオリジナルものは、トッカンとこの上流階級、それにもう一シリーズぐらいだったので、今度はライトノベルの著書も読んでみたくなりました。