Marumaru's TinyPlaza
(2015.12.21)(book)点と線
『点と線』/松本清張
ミステリー小説の所謂「時刻表トリック」に関する記事を読んでいた時、この小説が「時刻表トリック」の古典的名作だとしり、気になって読んでみました。
犯人とおぼしき人物は最初から明らかになっていて、探偵役がトリックを暴いていく流れなんですが、調査をすればするほど磐石のアリバイの壁が目の前に立ちはだかっている状況下で、壁に入った一つの綻びから、点在する数多の事象が一気に繋がり、壁にヒビを入れ瓦解させる。そんな気持ち良いカタルシスを味あわせてくれました。
中盤辺りまで読み進めると話の展開は分かるんですが、条件だけが揃っていく中で、いつどんでん返しがあるのだろう?と期待しながら読んでいたにも関わらず、予想を超える急展開で綺麗に風呂敷を畳んでくれたのは、流石に名作と言われる所以なのでしょう。
登場人物の仕草や設定に、古めかしさを感じながらも、泥臭く足で情報を稼ぐ、熱くも落ち着いた時代に対する憧れを感じました。なんて言うんだろう、静と動がはっきりとしている、野球のような空気なのかも。
最後のあっけなく終わる感じが好きでした。無駄に引っ張らない清清しい幕引き。