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(2018.06.19)(book)作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』/仰木 日向


急に作曲熱が高まってきた折、MIDIキーボードの「nanoKEY2」と一緒に買った本。自分の好きな、まつだひかりさんが表紙と挿絵を描いてるのも購入の大きな動機。

内容は、作曲のあるある本かと思っていましたが、思ったよりライトノベルでした。テクニックや理論じゃなくて、曲を作る為のモチベーションについて物語が進んで行くのが新鮮でした。

中でも目から鱗だったのが、作曲はイラストや小説に比べて、0の状態から最初の1つを完成させるまでのハードルが高い。だから、参考書を購入して音楽理論について勉強するけどチンプンカンプンになって投げ出してしまう。だけど、そもそも音楽理論と言うのは曲を作れるようになった人が上手く「間違う」為のものだから曲を作れない人が勉強しても分かる訳が無い、って内容。

これ、自分に実感だったので、とても納得してしまいました。コード進行や和音の構成、スケールとか諸々の音楽理論は眺めてみて、書いてある事は何となく分かった気になった(実際は分かって無い)んですが、じゃあそれを使って作曲が出来るかと言うと別問題なんですよね。

なので、この本では、まずは好きな曲を耳コピして、そのパーツを使って曲を作るという方法で物語を進めていました。こう書くと、パクリっぽいですが、とにかくコピーでも何でも良いから曲を作らないと、理論が実感出来ないって言うのは確かにそうなんだと思います。言われてみれば、イラストだって最初は模写から入るし、小説だって好きな人の言い回しや語彙は真似るだろうし。そういうもんですよね。

自分がモヤモヤしていた部分をずばりと解決してくれて、すっきりとした本でした。純粋にライトノベルとして読んでも面白いんじゃないかと思います。 この話、何が良かったって、プロの作曲家をやってる友達が主人行に作曲を教える時、主人公の事を一人のクリエータとして扱っている事。そして、技術は教えられるけど、それを覚えたら後はアイディアの世界だからって、モチベーションを高める方法や作業環境の事を教えているんですよ。で、敢えて書きませんが最後の展開が本当に熱くて好きでした。この立場を明確にする感じ、これがプロなんだなぁ、と。

音楽っていう分かりやすく目に見える形が無いものだからこそ、音をそのまま模倣する事に抵抗があったり、余計に理論から入ろうとするのかもしれません。この本では耳コピで話を進めていましたが、ぶっちゃけ原曲を聞いて各パートを耳コピ出来る耳があれば(出来ていれば)勝利の鍵を手に入れたと同じだと思うんですよね……。なので、バンドスコアとかを参考にさせてもらったりしました。

まずは、真似でも良いから自分で手を動かしてモノを完成させる。そうやっていくと、そのままの他の曲用に作られたつぎはぎの部分に違和感が生まれて満足出来なくなってアレンジしたくなる。そうやって自分で曲が作れるようになるんだと。




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