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(2018.08.24)(book)ワカコ酒(11巻)

『ワカコ酒』(11巻)/新久千映


この漫画は、出始めた頃に友達から勧められて最初の方(4巻ぐらい迄?)は読んでいたんですが、いつの間にか御無沙汰になっていたところ、先日、友人の日記で最新刊の11巻が出た事を知って、久しぶりにと11巻を読んでみました。

そうすると、主人公のワカコがかなり大人っぽくなっていて驚きました。純粋にイラストの等身が上がったのもあると思うんですが、振る舞いや纏っている雰囲気も含めて、明らかに連載当初より年を重ねた女性として描かれていたように思います。

最初は、働き出して少し余裕が出来てたOLが仕事の疲れを街の居酒屋で癒す。新しい酒や肴との出会いに飛び込んでいく!これが明日への活力!みたいな感じだったんですが、11巻では何と言うかひどく落ち着いていて、あまりガッつかずに「ほほぅ、こういうのもあるのね」みたいな感じに。ある種のルーティンのように、生活の中に美味しいお酒と過ごす時間、みたいなものが組み込まれているようにすら思いました。

そして何より、独身貴族と言うか、俗に言う「おひとり様」を満喫してるなぁ、と。もともと色恋沙汰を取り上げた作品で無いので、必要無い部分は敢えて触れないと言われればそれまでなんですが、それを差し置いても、婚期がとか、出会いが、みたいな焦燥感のようなものは微塵も無くて、当たり前にように一人で居ることの選択をしているんです。

この作品の舞台はおそらく広島(もっと言うと、広島市の繁華街である八丁堀辺り)だと思うんですが、広島の都市部ぐらいの規模が、一人で暮らしていくという選択肢が普通に存在する境界なのかなぁ、と。以前暮らしていた名古屋では、結婚をするのも一人で居るのも、その人の選択の一つという考えが出来上がっていて、その事について特にとやかく言う人や風潮もありませんでしたし、それぞれの生き方についての環境が整っていました。そして、それぞれの考え方、生き方を支えるだけの人口がいました。

自分が今住んでいる岡山県の田舎では、どうやっても結婚するという道筋が本流で、一人で居るのはその流れに乗れなかった人であり、何らかの理由がある、という考えに基づいたプレッシャーが内外から発生しているように思います。それはそれで仕方の無い事なんですが、広島市(人口120万人)辺りが、人口、家族構成、仕事状況、諸々に基づいたライフスタイルの分水嶺になるのではないか。

と、そんな事をワカコ酒の11巻を読みながら何となく思いました。

ちなみに、等身以外にも、初期に比べて凝った角度からの構図(アングル?)が多く、絵柄も人物はシンプルにする反面、酒や料理は描き込んでその対比で画面を引き立たせているような印象を受けました。

ここ暫く乱立している酒・食べ物系作品の牽引役になった作品の一つとは言え、OLが仕事帰りに居酒屋で酒飲んでプシューって言ってる展開で、よくここまで連載が続いているなぁ、と思いました。起源にして頂点という風格さえ感じます。




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