Marumaru's TinyPlaza

(2019.10.15)(book)三つ編み娘とヒゲ男

『三つ編み娘とヒゲ男』/遠藤平介


Twitterで触りの部分が流れてきて興味を持ち、調べてみたらKindleで無料公開と言う事で読むに至りました。

最初に、この作者さんの絵柄、特に瞳の描き方がとても好きです。瞼の輪郭をしっかり描いて瞳孔を小さく描く手法。90年代のアニメチックな描き方でしょうか。白い部分が多いので目を大きくデフォルメして描いても違和感が少なくて、大きな瞳で喜怒哀楽がしっかり描かれ魅力的な表情になっています。純粋に大好きです。

内容ですが、17歳高校生が29歳サラリーマンに惚れてアタックする話。なんですが、テーマ的には年の差に限らず障害のある恋愛を成就させる為の「覚悟」、そして自身に対する「許し」のお話だと思います。覚悟を決めて困難に立ち向かおうとする人達が、現在過去の事柄から心に抱えた重しに潰されそうになった時、そんな自身に対する許しをどこに求めるのか。かなりテーマ重視のお話です。

世間の誰からも咎められない、いわゆる一般的なカップル。そんな関係ならそもそも「許して」もらう必要なんてない。世間と違う事をして、その事に対する重圧、大切な人に打ち明けられない、分かって貰えない辛さ。だけど、それでも自分の選んだ答え以外に選択肢が見えないのなら、他を犠牲にしてでもその道を歩むしかない。そんな傷だらけの自分を誰が許してくれるのか。

結局、自分を許せるのは自分しか居ないんです。世間と違う、周りから咎められる、そんな事で自分の意思がぶれてしまうかもしれないけれど、幸せを掴む為にと踏み出した自分の道をせめて自分は肯定したい。

その結論に辿り着くまでの熱い過程と、出した結論の表現がとても素敵でした。




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