Marumaru's TinyPlaza

(2026.06.14)(book)○○○○○○○○殺人事件

『○○○○○○○○殺人事件』/早坂吝


Twitter(現:X)で流れてきた小説。ネタバレ厳禁系らしい。うん、そういうのは大好き。ってことで早速読んでみました。

内容は孤島が舞台の殺人事件なんですが、作者からの挑戦として『最後の1行を読むまでに○○○○○○○○の中身を推理する』というのがありました。途中からは内容そっちのけで〇の中身を考えて読んでいました。が、正解にはならず。めちゃ悔しい。

とても軽いタッチで書かれていてさくっと読めるのですが、読んでいてちょくちょく気になっていた部分は全て伏線として回収されていて、流石のメフィスト賞受賞作の貫禄がありました。個人的にメフィスト賞を獲った作品は好きなのが多いかもしれない。

刊行の2014年は携帯電話がガラケーからスマホへ移り変わる時代ですが、この時期でもクローズドサークルを作る為の苦労が伺えました。ましてStarlinkで空が見える場所ならばどこでも衛星回線が拾えてしまう現代においては、クローズドサークルなんて作れるのだろうかと心配になってしまいます。

ミステリ小説は時代と技術の進歩によってネタがどんどん潰されていくジャンルですよね。ミステリ系の感想でよく書いていますが、これからの時代にミステリを書く作家さんの苦労たるや。


以下、少しだけネタバレ。本当にネタバレすると面白くなくなる作品なので、既読の方以外は読まないで下さい。お願いします。
























確かにこれは映像化出来ない作品だわ。

答えの候補、『人間万事塞翁が馬』『へそで茶を沸かす』のどちらかだろうと思っていただけに非常に悔しかった。



(2026.06.16)(book)自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。 (4)完結

『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』 (4)完結/しき


少し前から読んでいたシリーズを全部読みました。

同じタイトルが2レーベルで出版されていたので、後から出版されていた方を選んだのですが4巻で完結でした。前に出版されていた方は6巻ぐらいまであった気がしたんですが、今回読んだレーベルが児童文庫のようなので多少内容が簡略化されていたのかもしれません。

オタクのサガで後に出版されたのを選ぶ方がコンプリート版的な追加要素があるかも?とほぼ無条件で出版年が新しい方を選んでしまったんですが、もうちょっと調べるべきでした。まあ、そこまで肩肘を張って読む内容でもないのでコミック感覚でさくっとエッセンスを堪能出来たからOKという事で。

読み終えて感じたのですが、少し変わったこの設定は甘々な少女漫画的ラブラブストーリーを綺麗に展開する為のものだったんだと思いました。

あまり他人に興味の無い高性能ヤレヤレ系のセシルが婚約者のバーティアに惹かれる。乙女ゲームの前世の記憶を持つヒロインバーティアは、前世で全ての世界線を観測した故に、相対的に一番多くの人が幸せになるハッピーエンドを目指そうとする(その為には自分がゲームでのメインヒロインのヒローニアから所謂『ざまぁ』されて凋落する必要がある)。だが、バーティアの企みは悉く失敗に終わり逆に彼女の好感度を上げる結果になる。そしてバーティア自体もセシルを好いている。

という設定は転生やざまあの要素を除けば、往年の少女漫画スタイルの王道だったのかな、と。よくある、『ひょんな事からお嬢様学校に通う事になった天真爛漫ヒロインが、偶然出会ったクール系生徒会長に気に入られ良い仲になったけど、それをよく思わない(それこそ)悪役令嬢からいじめられる』の構図のヒロインと悪役令嬢を一人二役でやってるパターンと思えば、すごく腑に落ちました。

とは言え、王道パターンに色んな要素を入れつつも、お互いの味を活かしながらくどくならないように調理した作者の妙といったところでしょうか。

何より、全体的に明るいお話で非常に爽やかな読後感でした。登場人物がヒローニアを含め最終的には何らかの救いがあった点、当然誰も亡くならない、セシルの存在にちゃんと説明があった、そして現実世界での用語を異世界の人物はちゃんと知らないものとして扱っていた、という点がとても気持ち良かったです。

『シナリオ』の存在を乗り越え、全員が幸せになる世界線を見つけトゥルーエンドに到達する物語は良いものですね。



(2026.06.24)(book)ブライト・ノアの逆転マネジメント術

『ブライト・ノアの逆転マネジメント術 アムロでもシャアでもない男が、最高の結果を出し続けた秘密』/鈴木博毅


ガンダムのブライト・ノアをマネジメントの視点からみて、いかに優れた中間管理職だったのかを論じた本。はい、完全にタイトルに惹かれて手に取りました。この作者さんは他にも何冊かガンダムに絡めたビジネス書を出されてるみたいですね。ファーストだけじゃなく、ZやZZ、ユニコーンも拾っているのが好感を持てます。

ブライトさんの今までの行動を振り返って、マネジメント視点での解説を行っているのですが、確かに戦艦の艦長というのは中間管理職だよなぁ、と。そして艦長の仕事をする中でクルーの技術的、人間的な成長に大きく関わっていた人だと改めて認識しました。

ビジネス書というよりはガンダムの副読本といった感じの本でした。

しかし、この本1冊を使ってブライトさんにおける部下の育成能力の優秀さについて語っている訳ですが、肝心の息子はテロ組織のリーダーをやってるんですよねぇ。と、一応のツッコミを入れておきます。本書内でオチとして語られるかと思って少し期待していましたが、流石にそんなことはありませんでした。



(2026.06.25)(movie)百円の恋

『百円の恋』


SNSで名前を知ってちょっと気になった映画だったんですが、PrimeVideoに入っていたので観てみました。

引きこもりが一念発起してボクシングを始めるという漫画等でたまに見かけるストーリーなんですが、主人公が30代の女性というところが新鮮でした。

深夜の買い物でボクシングに打ち込む男性との出会い、バイト先の個性的な店員さん・お客さん、望まぬワンナイト、などVシネマのような展開が続いてすこしダレ気味でしたが、それは後半ヘの布石でした。

ヒロイン一子がボクシングに目覚めてからの後半が本当に熱かった。往年の少年漫画さながらの熱さを感じる修行シーンを経て迎える最後の試合のカタルシスがたまりません。

と言うか、ヒロイン役の安藤サクラさんの演技力がすごい。だらしない女性から、ボクシングファイターとしての格好良さ、泥臭さを見事に演じていました。作中で一子は特訓を重ねながらボクシングが上達するのですが、その上達っぷりが素人目から見ても明らかで、女優さんにここまで本気でボクシングをさせるんだ、と驚きました。

加えて序盤から終盤にかけての体形の変化がすさまじい。だらしない体つきから、徐々に体を絞って筋肉もどんどん付いていくのが目に見えて分かります。内容もですが、安藤サクラという女優さんの演技に対する姿勢に一番感動したかもしれません。

そして終わり方がかなり気持ちいい。青春の涙を流した後にカメラが空を向いて爽やかなロック調のエンディング曲イントロが始まる。完璧なクロージング。

何者にもなれなかった自分が、輝くものを見つけて、その憧れ、そして憎しみを原動力にがむしゃらに頑張る。こういうストレートな話は心を打たれます。青春は年齢を言うのではなく、自分の中にアオハルが存在する期間の事を言うんだと思っています。




<(2026.05.09)(book)自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。 (1) (2026.07.02)(game)余命100歩(+余命10歩)>