Marumaru's TinyPlaza

(2009.10.10)(book)プリズン・トリック

『プリズン・トリック』/遠藤 武文


第55回江戸川乱歩賞受賞作。交通刑務所で発見された前へ倣え姿の遺体を巡る密室殺人のお話です。

「読み落としていい箇所はラスト一行までどこにもない。」「あなたは絶対に鉄壁のトリックを見破れない。そして必ず、二度読む。」等々の広告の文句に惹かれて読んでみました。

まず、文章に勢いがあるので、500頁弱のお話でしたが一気に読み切る事が出来ました。作中で謎がいくつも出てくる謎の真相が気になって先へ先へと読み進めさせてくれます。

が、全体的に登場人物が多いのと脈略なく視点が切り替わるので、現状を把握しにくいように思いました。

大枠の謎に対するトリックと最後のどんでん返しは素晴らしかったのですが、”盛り上がって盛り上がって最後にひっくり返される”ではなくて、最後の真相を知らされた後に”あー確かに辻褄が合うよね。……だから、何?”みたいな感がありました。

登場人物と視点切り替えをまとめて、途中の横道にそれる感じが無ければ、盛り上がりながら最後まで読めたのではないでしょうか。この手のトリックは読者が内容をちゃんと把握した状態で最後に落とさないと肩透かしを食らったような気分です。

何と言うか、広告と帯に上手く煽られた感じ。「前へ倣え」の状態で殺された事にもっと意味があるのかと思った。……単に私の読解力がないだけなのかな。

p.s.ここまで書いて他のレビュー等を流し読みしたら、同じような感想を持った人が多くて、何となく安心。




<(2009.10.09)DoCoMoニュース (2009.10.16)SPAMコメント対応>