Marumaru's TinyPlaza

(2009.10.20)(book)大停電の夜に

『大停電の夜に』/源孝志


同名の映画のノベライズ。2005年クリスマスイブ、大規模な停電になった東京の街を舞台に舞い降りた一夜限りの奇蹟を綴ったお話です。

普段なら決して交わる事の無いであろう12人の男女の人生が、停電という運命の悪戯をきっかけに徐々に重なり、交錯し、それぞれの思いはやがて一つの物語を織りなして行きます。

最初は登場人物の多さに少し戸惑いましたが、サクサクと読み進められる文体と、徐々に交わっていく人間模様に、のめりこんで一気に読む事が出来ました。

普段は冷淡な都会の夜が、クリスマスイブの一夜だけ停電によって外界と遮断された。そこは、人の思いだけで繋がった小さな、だけど暖かさに満ちた箱庭のよう……クリスマスにはまだ少し早いですが、心あったかになる小説でした。

今度、機会があれば映画版も観てみたいな。

余談ですが、昔セガサターンでプレイした「街」ってゲームを思い出しました。別々の人生が重なって行く様子を神の視点から眺められるのは面白いと思う。




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