Marumaru's TinyPlaza

(2011.08.05)(book)マシカク・ロック

「マシカク・ロック」/渡辺カナ



亡き父親の教えで、ルールを守って勤勉な学校生活を送っているヒロインが、同じく父親の影響でやっているギター。学校では校則でギターは禁止されているが、ひょんな事から軽音部に入部することになり……。と言うお話。

ギターを持つ三つ編みでセーラー服姿のヒロインの姿に惹かれて思わず表紙買いしてしまったんですが、買って正解だった。

内気な少女がとあるキッカケで出会った男の子の事が好きになって、すったもんだの末に結ばれる。それが女の子の一人称視点で描かれていて、物語も主人公の女の子の心情を中心に展開していく少女マンガの王道ストーリー。少女マンガを読むのが久々だったからこの展開が新鮮でした。


この話は青春学園バンドもの(そんなジャンルあるの?)になるんでしょうけど、バンドや楽器の楽しさよりも主人公である女の子が自分の殻をやぶって羽化するって言う内容がメインだと思いました。

主人公はギターを通じて内気な自分の殻を破ります。何故なら、今まで内に秘めていた素直な気持ちはギターをかき鳴らせば相手に伝える事が出来ると気付くから。

そして主人公は同じく知ります。彼女のiPodの中には沢山の「ラブソング」と言われる歌が入っているけれど、今まで漫然と聞き流していた(曲中の)名の無い「きみ」や「あなた」に込められていたのは、歌い手が伝えたかった気持ちであり愛なんだ、と。

相手の気持ちは分からないけれど、自分の気持ちは分かる。そして歌に乗せた自分の気持ちをどうしても聞いて欲しい人が居る。だから私は歌うんだ!!

くぅー、なんと言う青春ストーリー。ストレートすぎて眩しいよ!!だけど、読んでいてすごく心地が良い。


最近、音楽をテーマにしたお話に触れることが増えています。それは多分、自分が最近ギターを友達と弾いてその楽しさに気付いたから、その気持ちを共感したいからなんだと思います。多分、音楽に全く興味が無かったら音楽をテーマにした話に触れても、物語としの出来の良し悪ししか分からなかったと思う。

だけど、この話の主人公が作中で世間のラブソングに込められた想いに気付くように、自分と共感できる部分があると、その話をもっともっと面白く色んな側面から感じることが出来る。何事も経験って大切だなーと妙に納得してしまいました。


この漫画は短編なので単行本一冊で完結しています。と言うか、他にも短編が数本入っています。それと、この作者はこの単行本がデビュー作でした。デビュー作でこれだけの話と絵を生み出せるってすごい。これほど作者の言いたい事が伝わってくる漫画も珍しいです。


最後に、読んでいて印象に残った台詞を抜粋。気になった人は読んで確かめてみてください。

「ああ それにしても コンタクトがずれて 目が痛い」




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