Marumaru's TinyPlaza

(2012.02.20)(book)君がいなくても平気

『君がいなくても平気 』/石持 浅海


前回感想を書いた「この国。」と同じ作者の話。まとめて図書館で借りてきました。

とあるベンチャー企業のとある開発グループ中で起きる死亡事件。主人公としてスポットを当てられているのは、その事件の加害者でもなく被害者でもなく探偵役でもないただの登場人物その1。普通に働き社内に彼女の居る一人のサラリーマン。 そんな主人公が、同じグループの中で起こった死亡事件に対して自らの保身の為に立ち振る舞うお話。

特殊な立場ではなく、むしろ一般的なサラリーマンの主人公だし、状況だけ見ると現実に起こってもおかしくないような事件なので、主人公に感情移入をしながら読めました。だからこその主人公の打算的な心の葛藤の部分が読んでいて面白かったのですが、人によってはウジウジして面倒くさいと思われるかもしれない。

妙に社内で女運に恵まれていたり、中途半端に事件に足を突っ込んだあげくに事件のほうから解決してくれる展開に、島耕作のような都合の良さを感じてしまいました。

日常で起こり得ないとは言えない事件とその時の心情を主人公視点で一緒に体験させてくれる。そんな大人のファンタジー小説と言える一冊でした。

余談ですが、この本を読んだ後はやたら居酒屋に行きたくなりました。だってシーンの殆どで登場人物の誰かしらが美味しそうにお酒を飲んでいるんだもの。




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