Marumaru's TinyPlaza

(2012.08.09)(book)1984年

『1984年』/ジョージ・オーウェル著 新庄哲夫訳


「STEINS;GATE」や「リベリオン」でモチーフにされているような管理社会、所謂『ディストピア』の原典と言える作品と言う事で読んでみました。

原典と言うか、管理社会の成り立ち、必要性、洗脳の仕方、etc……。本当にすべての事が書いてありました。と言うか、ここまで完全に書かれてしまうと他の作品が追随する余地がない。言い換えれば、他の管理社会をモチーフにした作品はこの「1984年」から必要なエッセンスを抜き出してそれに脚色を加えて構成されているんじゃないかとさえ思ってしまいました。それだけすごい作品。

書かれたのが終戦間もない1949年で、作中で描かれている近未来は現代とは異なる部分も多々ありますが、それでも今の基準で読んでも、当時の描かれた近未来図像として破綻していないと感じられるのがすごい。必要な要素が骨組みとして揃って居る上で肉付けをされているからなんでしょうが、こういう設定の精細さはSFの名作だと感じされられます。ハヤカワ文庫から出版されているって時点でガチですもんね……。

ただ、情報量は本当に多いんですが、それが説明の形で記述されているので、物語として読んだと時に純粋に面白かったかと言われればそれは別問題。

じっくりと腰を据えて読む必要がありますが、古典SFの名作と言われるに相応しい重厚さを味わう事が出来ました。こういうテーマが好きな人なら知識として読んでおいて損は無いと思います。




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