Marumaru's TinyPlaza

(2013.07.30)(book)海賊とよばれた男

『海賊とよばれた男』上・下/百田 尚樹


新聞広告でたまたま見かけた本だったのですが、作者が以前に読んで面白かった『風の中のマリア』の人だったので読んでみました。

この人の本はとにかく読みやすいです。読みやすいと言うか気づいたら読み進めてる。難しい言葉をあまり使ってない。会話が多い。等、理由は色々とあるんですが、何よりの理由は登場人物の意思がしっかりと描かれている事だと思います。だから続きが気になって一気に読んでしまいました。

内容は一代で丁稚から大会社を築き上げた国岡商店店主、国岡鐡造の生涯を書いた話です。読み終わって知ったんですが、国岡鐡造のモデルは出光興産の創業者である出光佐三のようでした。

戦争や国内外の圧力等、様々な時代の潮流に翻弄されながらも自分の意思を貫き、社員の為、そして国の未来の為に戦い続ける鐡造の姿は読んでいて気持ち良かったし、勇気を貰えました。陳腐な言葉かもしれませんが、日本人で在る事とは何かと言う事を説いた伝記かもしれません。

それにしても百田さんの話の構成力はすごい。流石構成作家の人です。事実として存在する歴史の頁を紐解きながら、国岡鐡造(出光佐三)とその周りの人々に焦点を当てて一つのストーリーにしているんですから。しかもその内容が、まるで国岡鐡造と一緒に生きているように感じるぐらいのリアリティでした。巻末を見ると、本当に沢山の資料を使って書いてるのが分かりました。『風の中のマリア』の時も思いましたが、膨大な資料による知識に裏づけされたストーリーだから説得力があるんでしょうね。




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