Marumaru's TinyPlaza

(2014.04.12)(book)クリムゾンの迷宮

『クリムゾンの迷宮』/貴志祐介


リストラされホームレス生活を送っていた主人公が目を覚ますとそこは見知らぬ土地だった。手元にあるのは携帯ゲーム機のような端末。そして同じ境遇の9人で生死を賭けたデスゲームの幕が開ける……。

なんか、こんなのばっかり読んでる気がする。ジャンル的に好きなんだろうなぁと自分でも思います。

ネットで適当に書評を流し読みしていた時に絶賛している人が何人か居たので読んでみたんですが、どうしても同じようなジャンルを書かれている土橋真二郎さんの作品と比べてしまいました。

ゲーム自体のギミックや設定は土橋さんの方が全体的に面白かった。最後のオチは、なるほどねぇと言った感じ。デスゲームものと言うよりも物語に重きを置かれている気がしました。

途中で覚えた違和感や展開もちゃんと伏線として最後で回収されていたので、物語自体は綺麗にまとまっていると思うんですが、最後のオチがいまいち爽快感に欠ける気がしました。予想はしていたけど、「これで終わり?」って感じで。

デスゲームものはゲーム自体のギミックと最後のオチが面白さの二大要素だと個人的に思っているんですが、一つのジャンルに絞って読んでいるとどうしても、オチがかぶってくるのは仕方ないですね。与えられたゲーム設定を上手に活かしてゲームを進め、最後の展開とオチまで含めてカタルシスを感じさせてくれる物語を作るのは並大抵の事じゃないんだと思います。

そういう意味では、DSの「極限脱出 9時間9人9の扉」が一番好きだったかもしれません(続編は除く)。こういうジャンルにおいて、絵と音が付いて居て自分で操作出来る事は大きなメリットに成りえます。非日常的な空間と文章で表現するには書き手の技量も居るし、読者の想像力も要求されると思うので。

あ、なんだかんだ書いていますけど、綺麗にまとまっている良い話だと思いました。ちょっと描写がエグいのでその辺りが大丈夫な人なら楽しんで読めるはず。読み始めたら一気に最後まで読ませる勢いと興奮はありました。


p.s.書き終えてから思い出しました。この読後のモヤモヤは「生贄のジレンマ」のそれに酷似している。

p.s.2後で調べて見たら、この本が出版されたのは1999年だったみたいです。バトロワと同時期だったんですね……このジャンルの最初の一冊として15年前にこれを読んでいたら印象はだいぶ違っていたと思う。と言うか殆どデスゲームものの始祖じゃないですか。無知って怖い!




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