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(2014.05.23)(book)上流階級 富久丸百貨店外商部

『上流階級 富久丸百貨店外商部』/高殿円


前回に読んだトッカンが面白かったので、同じ作者の本を続けて読んでみました。

この本は百貨店の女性外商さんのお話。畑違いの職場から百貨店に転職し、女性ならではの感性で展開した企画がヒットしたのをきっかけに、男性の職場である外商の世界に配属された主人公、鮫島静緒がカリスマ外商である前任者からの引継ぎを通じて、成長していく話です。

外商と言う商売は非常に少ない富裕層が多大な売り上げをもたらす部門。その富裕層に対してものを売るためには何が必要なのか?と言う視点で進む話が面白かったです。タイトルにもなっている上流階級の人々と言うのは、お金には困っていない人々。その人々が百貨店の外商からものを買う理由。百貨店の看板に求めるもの。そして外商さんの通じて流れる時間の中に存在するロマンス。

最初は「外商さん」と言うあまり馴染みのない世界に引きずり込まれて、途中から「この話、どうやって風呂敷を畳むんだろう?」と心配になりましたが、本当に綺麗に終わっていました。主人公の成長物語、そして上司である外商さんの想い、周りの人間関係。が上手く収束した大団円でした。

途中の「愛には、敬意はないよ」と言う、主人公へ向けての一言が印象に残りました。文脈抜きで一文だけ抜粋すると物語的な意味は通じませんが、文章そのままの意味として、納得したので記しておきます。確かに、尊敬は突き詰めると「教わりたい」「~してもらった」と言う事に行き着くので、無償の愛情とは違った一方通行の片思いなのかもしれません。

読み終わって、この作者って女性主人公の活躍を描くのが上手いなぁ、と思って調べてみると女性の作者でした。そう言われて今まで読んだ話を思い出してみると納得しました。それに、もともとはライトノベルで沢山のシリーズ、著書がある人みたいです。と言うか、ライトノベル以外の一般レーベルで出しているオリジナルものは、トッカンとこの上流階級、それにもう一シリーズぐらいだったので、今度はライトノベルの著書も読んでみたくなりました。




<(2014.05.23)(book)『トッカン』シリーズ (2014.05.31)(book)志乃ちゃんは自分の名前が言えない>