Marumaru's TinyPlaza

(2014.12.24)(book)アルテ

『アルテ』/大久保 圭


多分、『エマ』、『ジゼル・アラン』に続く3匹目のドジョウだと思った人が多いんじゃないかと想像に難くない表紙と絵柄の本。

16世紀のイタリアを舞台に、絵を描くのが大好きなお嬢様が「結婚=女の幸せ」と言う当時の価値観に反発し、絵描きとして自分で稼げるようになる為に弟子入りをする、そんなお話。

若い女の子が夢に向かって一生懸命頑張るってテーマだけで惹かれる部分がありますが、この話の良いところは主人公が仕事の中で壁にぶつかる事はあっても、そこから暗い展開にならずにどこまでも真っ直ぐに前向きに乗り越えていくところ。だから読んでいてとても爽やかな気持ちにさせてくれます。

むしろ、人間に対して、仕事に対してあまりにも真っ直ぐに向かっていくアルテが眩し過ぎて、自分と比べて凹んでしまうようなそんな漫画。

そんな『アルテ』の中で自分が一番好きなシーンを紹介します。アルテの師匠のパトロンである高級娼婦(コルティジャーナ)の家を初めて訪れた場面です。


「あたなの努力を尊敬してしまうんです」

この台詞にアルテと言う登場人物の全てが集約されている気がするんです。そんな台詞を相手の目を見て真っ直ぐに言える人がどれだけいるでしょう?この後、このコルティジャーナのヴェロニカさんはアルテを友と呼ぶぐらいに気に入る訳ですが、そりゃこんな事を真っ直ぐに言われたら人間的に惚れるよね……。

2014年12月現在でまだ2巻までしか出ていませんが、真っ直ぐ頑張るアルテの周りに様々な人が集まっていき、アルテもその人脈を含めた努力を重ねて成長していく。そんな展開が読んでいて本当に気持ち良いです。

あと、個人的にはコルティジャーナのヴェロニカさんが今後どうアルテに絡んでいくかが気になるところ。

自分の2014年ベストコミックと言える作品でした。




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