Marumaru's TinyPlaza

(2017.05.13)(book)ちはやふる

『ちはやふる』(34巻まで)/末次由紀


kindleで3巻まで無料だったので、読んだら続きが気になって堪らなかったので、休日前に漫画喫茶に駆け込んで一晩かけて読んできました。休憩挟みながらずっと集中して漫画を読み耽る……こんな熱量のある行動をしたのは久々かもしれない。

そんなちはやふるですが、兎にも角にも面白かった。そして泣けた。何より熱かった!!どのシーンとかじゃなくて、読んでて自然に涙が零れてた。(涙腺弱いオッサン)

物語の軸が終始「かるた」(競技かるた、所謂百人一首)からブレないのが良いです。

ひょんなキッカケからかるたを始めたヒロインが、部を創設して最初は純粋にかるたの強さを追い求め勝負を繰り返していく訳ですが、途中から世代が進み、後輩が入ってきて指導や人間関係が生じたり、他の部活との部室のいざこざや、他の学校のライバル達との関係、そして進学、etc……。色んな要素が入ってきますが、すべてかるたを軸に進んで行くので、話に中弛みがなく進んで行くのが読んでいて気持ち良い。

そして、試合の魅せ方が上手い。「読まれた札を先に取る」のが基本のかるただから、ルールがシンプルで漫画で読んでも試合の流れが分かります。その中で、札の配置や音の聞き分け、送り札、何字決まりといった戦略を使った読み合いが展開するので読んでいて引き込まれます。

加えて、強さのインフレが発生しにくい状況を作ってるのが素晴らしいと思いました。明らかに各上との対戦であっても、一方的な試合は殆どなく、部分部分でちゃんと見せ場が描かれているんです。長時間の試合の連続なので、相手ににも疲れや隙が生じたりするので、そこで練習の成果を出して得意な札を取る見せ場があるんです。

バトルものにありがちな特殊能力や必殺技のようなものは無く、あくまで普段の努力と練習の結果が試合で出ているって展開が熱いんです。そもそも「部活でかるたなんてやる奴は何処かしらのコンプレックスがある」的な事を作中の台詞で言わせるぐらいです。そんな選手達が、必死に努力して勝利を掴む展開が本当に熱い。個人戦はA級~D級に分かれている為、ランクに応じた熱い応酬が繰り広げられています。

特殊能力等は登場しないですが、かるたの試合はルールが比較的緩いらしく、試合中に宣言をすれば札を並べ替えたり、小休止をとったり出来るみたいなんですね。それに、札を取る時に勢い余って札が飛んでしまう事も多いみたいで、その辺りの反則にならない行為をキャラクタ付けに上手く使っている印象がありました。

そして、チームとしての在り方を熱く描いています。「個人戦は団体戦、団体戦は個人戦」のテーマの下、チームとメンバーの応援を背負って個人戦を戦う姿、チームを盛りたて流れを作る為に自分自身が普段以上の力を発揮して奮闘する姿。何にせよ本当に熱い。

と、書いていればキリがないんですが、他にも、少女漫画らしい絵柄の綺麗さ、高校毎のチームをはじめ登場人物が多いのにキャラが皆立ってたり、恋愛要素が主軸を邪魔しない範囲で良いアクセントになっていたりと、総合的な完成度が非常に高い、本当に魅力的な作品です。34巻現在でクライマックスに向かって走っているような展開なので、続きが本当に気になります。




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