Marumaru's TinyPlaza
(2017.07.20)(book)君の膵臓を食べたい
『君の膵臓を食べたい』/住野よる
以前から気になっていて、何となくストーリーは想像ついたんですが、読んでもいない本をとやかく言うのも嫌なのでスルーしていました。が、映画化ということでネタバレを見る前に読みました。
核心に触れることを書いております。ご了承下さい。
恋愛小説は好きなので、甘酸っぱい青春ものならもっと素直に楽しく読めたんだと思いますが、他人との関わりを避けていた主人公がヒロインとの交流を通じて意思の疎通、心の遣り取りを覚えるストーリーなんですよ。つまり人格形成のお話。
なので、学生時代ぐらい迄だととても心に残る一冊になったのかもしれませんが、いい年したオッサンが傾倒する話でもないかな。と言うのが素直な印象。
ただ、それは自分が読んだ時期や、過去の多感な時期に同じようなテーマの物語に触れたからであって、話としてはとてもよく出来ていたと感じました。構成がとても綺麗で、伏線回収もちゃんとしている。後半の少し意外な展開からのラストまでの流れは惹きこまれました。
2000年前後、Kanon辺りが流行った頃に散々言われた事なんですが、人の「死」と言う物語におけるジョーカーを使うと、読み手の心は否応無しに動かされます。一番普遍的に最大公約数の人に共通する体験、感情と紐付けられますから。その終わりの形を早い段階で提示された上での心の遣り取り、その後の再スタートというテーマは王道過ぎるので、どうしても予想の範疇の感想で終わってしまいました。
ですので、小説でも映画でもいい、感受性の豊かなうちに、人格が形成されきる前に、王道ストーリーを王道だと感じずに素直に受け入れられる間に、触れて欲しい作品だと思いました。