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(2018.10.04)(movie)若おかみは小学生!

『若おかみは小学生!』



小学生を不憫な環境に追い込んで、そこからの頑張りを眺める。って意味で感動の押しつけみたいなものを感じました。 ただ、物語の構成は本当によくて、90分アニメのお手本のように思いました。

でも、この話って、もともとが青い鳥文庫でかなりの売り上げがあって、TVアニメにもなってるみたいなんですよね(両方未見)。単純に見方がひねくれているだけなのか、物語のエッセンスを90分に凝縮するとそういう風に取れてしまうのか。

以下、ネタバレを含みますのでご注意下さい。
































温泉旅館で女の子がおかみとして奮闘するお話としては、花咲くいろはが浮かびますが(原作小説的には若おかみ~が先)、いろはは主人公が高校生で一応就労可能な年齢なんですよね。

何で感動の押しつけと感じたかというと、冒頭で両親が亡くなり、親戚の温泉旅館にお世話になるところまでは良いんですが、そこから周りの圧力で「若おかみ」として旅館を継ぐって決定をさせられたように見える事。そりゃ、旅館にお世話になっていたら手伝いをしない訳にはいかないでしょうけど、身寄りが無くなった小学生に無理矢理自分の意思として言わせたような雰囲気に見えたんですよ。情にほだされたという言い訳を使って。

で、温泉旅館の労働環境ってあまり良いとは言えないんですよね。住み込みなら尚更。プライベートの時間がとにかくなくて休みが取りにくい。ただ、それを嫌と思うかどうかは人次第なので、そういうのが好きで合っているなら良いんですが、小学生が言われるままになったようにし見えてしまって。

そして、そこからお客さんが悉く、事故のトラウマをえぐってくるじゃないですか。子供が親に甘える姿を散々見せられたり、事故の記憶が蘇ったり、(結果的に)両親の死因になった家族が泊まりにきたり。そんな中で、心を折らずに前向きに立ち向かって、事故で両親を亡くした子供じゃなくて、「旅館の若おかみ」としての立ち振る舞いを求められ、自分もそれで在ると宣言する。

これ、原作の小説的には読者の小中学生が境遇をヒロインに重ねて、苦難に立ち向かう格好良い同級生、として見るのかもしれませんけど、ヒロインぐらいの娘が居てもなんらおかしくない年になった今としては、ヒロインが不憫に思えて仕方ないんです。こんな年端の行かない子供にそんな酷い事ばかり降りかけなくても、みたいな。そして、色んな感情が入り混じった涙がとめどなく溢れてきて、劇場でかなり泣いてしまいました。

そして、最後は友達だった幽霊達とも別れてしまって、それを大人への成長とか、精神的に一人立ちした、とかとる事も出来るんですが、両親との死別で1度目の別れ、両親の死を受け入れた事で両親の幻を見なくなった2度目の別れ、そして幽霊達との3度目の別れ。という風に物語中で3度も別れを経験したような気がしました。

最後の幽霊達との4人での神楽はとても良いシーンで、そこに居た真月以外が「今が最高!」「(幽霊陣が)生まれ変わって来世で会いたい」みたいな感じでしたが、そのシーンが終わった後に待っているのは残された者っていう視点で見てしまって素直に感動出来ない自分がいました。

結果的に大変な境遇になってしまって、その中で奮闘している姿という意味では「おおかみこどもの雨と雪」のヒロインである花もそんな感じでしたが、あちらも大学生ですしねぇ。どうしても、その流れを小学生でやってしまうと、ひどい事をされているように見えてしまう。

とりとめの無い感想になってしまいましたが、見方で感想がかなり違う映画だと思います。たぶん、原作やTVアニメでちゃんと下地を知ってる人は高評価だと思う。

後は、思いついた事を箇条書きで。

  • 水樹奈々って努力してるライバル役が映えますね。WhiteAlbumの理奈のような。サブヒロインや周りにベテラン声優さんが居ると安定感がありますね。
  • 小桜エツ子さんの演技を久々に聞いた。相変わらず圧倒的な存在感と素敵な演技でした。もう結構なお年かと思ったら47歳なんですね。思ったより若かった。計算したら天地無用の魎皇鬼が21歳とかの時なのかー。
  • いきなり転がり込んできた織子が若おかみになった形だけど、順当に行けば将来は仲居のエツ子さんが女将を執ることになると思われるので、エツ子さん的には良かったんだろうか?とか思ってしまう。
  • やっぱり温泉旅行って贅沢なものだよね、と改めて認識。それも大きいホテルじゃなくて、全部部屋食の小さな旅館とかを使う温泉旅行は尚更。お客が、鈴鬼が呼び寄せた個性的な人達ってのもあるけど、基本的にお金に困ってないような人ばかりだったものね。
  • しかし、フィクションに野暮なツッコミとは思いつつも、5部屋の旅館を、70になる女将と、仲居さん、板前さんで回せるものなのかな?露天風呂もあるのに。そこに学校に行ってる小学生が一人入っても焼け石に水だと思う。真月が言ってたお客に気を使わせる旅館、っていうのは本当だと思う。
  • 神楽で始まり神楽で終わる構成は本当に見事。90分でどんだけ成長してるんだ、っていう。
  • 原作小説で流れの中で色んな出来事があったり、TVアニメである程度の長さで見ると印象が違うのかもしれない。映画だと90分でひたすら災難が降りかかってきた感じが、ね。




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