Marumaru's TinyPlaza

(2022.11.23)(book)此の世の果ての殺人

『此の世の果ての殺人』/荒木あかね


第68回江戸川乱歩賞受賞作。

彗星の衝突によって半年後に消滅する現代の話。終わる世界の中で、自動車学校の先生や途中で知り合った人達と一緒に殺人事件の真相を追っていきます。2022年年末の話なので、読んでいるうちに今のこの世界はあと少しで終わってしまうんじゃないかという感覚に陥りました。それぐらい没入感がすごかった。

所謂セカイ系、終末系と言われる世界観でしょうか。割と馴染みのある世界ですが、その中で目まぐるしく移り変わる展開が読んでいてとてもワクワクしました。一緒に旅をするイサガワさんのキャラクターがとても立ってました。少し万能キャラな気もするけど、少女が年上の男性と終わる世界を旅するっていう定番をこんな風に描く事も出来るんだ、と。

ミステリ的な要素や伏線もあって、本当にこれがデビュー作!?と思いながらも、端々に表れる瑞々しい感性に可能性の萌芽を感じました。何より、本が大好きな人と言うのがすごく伝わってくる。

粗削りなところもありますが、それ以上に勢いと魅力のある作品です。終わり方も綺麗。




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