Marumaru's TinyPlaza
(2024.06.23)(book)成瀬は信じた道をいく
『成瀬は信じた道をいく』/宮島未奈
最近読んだ『成瀬は天下を取りに行く』の続編。相変わらず読みやすく面白い短編集でした。
このシリーズのどこに魅力を感じるかと言うと、成瀬あかりと言う人間が自分を楽しんで生きている事が周りの人物に影響を与えていき、関わった人達を始め周りの世界を結果的に変えていっているところ。
私の好きな言葉に「他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる」があるんですが、それを地で行っているなぁ、と。成瀬が他人を変えるのではなく、成瀬に影響を受けた他人が自分の意志で自分を変えようとしている。そんな様を物語を通じて眺めるのが楽しいです。
成瀬あかりと言うハイスペックな人間が、自分の信念に従って人生を楽しもうとすると、既存のものの見方が変わる……と言うか、当たり前だと思っていたルールや既成概念を良い意味で軽々と覆してくれます。例えば外国や外国人に触れた時に感じるような文化や考え方の違いのような。
今、普通のものとして当たり前のように受け入れている概念を、屁理屈ではなくて正論で力ずくで真正面からねじ伏せていく。そんな感覚を成瀬の周りの人達と一緒に追体験できるのが魅力だと思います。
それはそれとして、文章自体が読みやすくてキャッチーなのは相変わらず流石。