Marumaru's TinyPlaza

(poem)071_セピア

「セピア」

気持ちを文字にすればたった一つの言葉
だけどその言葉には
幾つもの眠れる夜と涙の痕が詰まってる

それならいっそ
その言葉を胸に仕舞いさえすれば
安らかな笑顔で眠れるのかな?

あの声もあの顔も心の奥に仕舞えば
もう涙はいらないのかな?

記憶の中であなたを探す日々
声が聞こえては必死でノイズを取り除き
姿を見つけては丁寧に輪郭をなぞる

だけどどんどん霞んで行って

あの時のままで止まっている私の中のあなた
止まっているつもりでも時間に流されている私

離れてゆくのは当然なのかな?

そう思った瞬間に
私はしっかりと握っていたつもりのあなたの手
砂のように霧のようにその感触が零れていった

記憶の中のあなたの姿を
ぼやけているその姿を
思い出という名前の絵の具で
私色に染め上げようと思う