Marumaru's TinyPlaza

(2009.09.27)(book)七姫幻想

『七姫幻想』/森谷明子


千年の黙でファンになった森谷明子さんの作品。

7つの話からなるオムニバスです。それぞれの話が実在の和歌をテーマにその背景の物語をフィクションで書かれています。実在の人物も出てくるし、舞台が古典の世界なので、多分古典に詳しい方がより深く楽しめるんだろうな。

千年の黙で好きな部分だった、古典+ミステリーという形式はそのまま、多分これがこの作者の持ち味なんだろう。

森谷明子さんの話は舞台柄もあるんでしょうが、女主人+女中という構成をよく見ます。この女中の方の書き方が上手い。利発で健気な童が成長して恋をして、ミステリーとしての事件の真相部分を知る、という書き方に毎回読んでいてドキドキしてしまいます。

全話を通じて、ミステリーとしての内容が、読み手に推理させる形式ではなくて、語り部役が「実はこうだった」と真相を明かす形式なので、かなり腰を据えて読まないと内容が飛んでしまいそうでした。これは読解力と古典知識にも関係しているのかもしれません。一段組の300頁程度の本なのに読了にかなり時間がかかった、というかちょっと疲れた。

個人的にはオムニバスじゃなくて、1つの物語でじっくりとお話を読みたいかな。森谷さんの他の本も探してみよう。




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