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(2010.12.15)(book)ひかりの剣

『ひかりの剣』/海堂 尊


「チーム・ バチスタの栄光」の著者の本。

将来の医者を目指して医大で医学を学ぶ主人公・速水晃一とそのライバル清川吾郎。社会に出る前のモラトリアム的な期間を謳歌すべく、医大生と言えど大学生の二人は部活の剣道に青春を捧げていた。

そんな中、医者であり学部剣道部顧問の、通称「阿修羅」高階先生が二人のライバルを戦わせて切磋琢磨させるように裏で糸を引きながら、剣道を通じて将来なるであろう医者の心を本人たちに気付かせる。

そして、二人の剣士が衝突する剣道大会「医鷲旗大会」の行方は……。というあらすじです。

このお話は、少年漫画的な要素が割とある熱い剣道ものなんですが、実際は医者のお話だと思っています。とは言え、医学用語の羅列が出てくる訳ではなく、物語の根底に流れるテーマが医者と言うか医療についてなんです。

その理由は、現役の医師で部活顧問である高階先生、この人の存在。この先生が剣道の指導を通じて、医者とはどうあるべきか。と言う心構え……精神的な部分を教えるんです。それが、「ああ、この作者が伝えたいのはこれなんだな」と分かる程に明確でそして深い。

他の作品を例えに出しますが、この先生の存在は「ダイの大冒険」に出てくるアバン先生のような存在なんです。と言えば、ダイを読んでいる人には恐らく分かるんじゃないでしょうか。まさに、師とはかくあるべし、という存在。

剣道の話自体も、章ごと主人公とライバルのそれぞれの視点でテンポ良く話が進み、それを神の視点から読んでいる読者はいやがうえにもテンションが上がって行きます。おかげで、剣道は全く分からない自分でも、読後は「剣道ってやっぱり格好良いなぁ」と感化されてしまう程。

さくっと読めて非常に心地良い読後感のオススメの一冊。




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