Marumaru's TinyPlaza

(2013.05.23)(book)玩具店の英雄

『玩具店の英雄 座間味くんの推理』/石持 浅海


このところ続けて読んでいる石持さん作品、今回は短編集。

事件を防げるかどうかの分岐点について研究している主人公の女性、警察幹部、そして座間味くんの3人が飲み屋で語りながら進んでいくお話。「そうそう、こんな事件があったんですよ」と主人公が切り出し「~と言う事件だったんですよ」と締めると、座間味くんが「なるほど。でも実はこの事件って~~なんじゃないですか?」と事件の真相を明らかにしてしまう、ちょっと変わった安楽椅子探偵モノ。

事件についての会話の行間を読むってレベルじゃない座間味の推理に綻びはないんですが、ちょっと話が飛躍しすぎているので、謎解きとして読むよりも「会話で与えられた十分条件を満たしながら創作された物語」として読むと楽しめました。と言うか、それだけの構成力のある石持さんの技量に舌鼓を打つ作品。

会話を進めながら理論展開を進めて行くパズル的展開はまさに石持さんという作品でした。でもこれは、話が客観的で正確で仔細に書かれている警察の調書をもとに進めていると言う前提があるからであって、実際にこんな人が居たら妄想家だと思ってしまうかも。

それよりも、会話の舞台になっている毎回の飲み屋さんが和洋中様々なジャンルで、しかも登場人物が全員美味しそうに食べて美味しそうに飲む描写が入っているものだから、この本を読んだ後は飲み屋で何かを語りたくなってしまう、何とも困った本です。そうだよね、ビールは美味しいものね。




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