Marumaru's TinyPlaza

(2013.09.17)(book)扉は閉ざされたまま

『扉は閉ざされたまま』/石持浅海


豪奢な洋館調のホテルを借り切って行われた大学時代の同窓会。久しぶりの面子が集まり食堂に集合する事になったが、仲間の一人がいつまで経っても部屋から出てこない上に扉には鍵がかかっている。まさか部屋の中で倒れているのでは!?と言うミステリでよくあるシチュエーションの中にあって「鍵のかかった扉を斧でたたき壊す」と言うこれまたよくある手段を"敢えて使わなかった"作品。

石持作品のテンプレート通り最初に犯人の犯行部分は描写されていて、読者は扉の中の状況を分かっている状況で繰り広げられる探偵役と犯人+周りの仲間による推理合戦。登場人物が発した「言葉」を元に探偵役が矛盾を見つけ出し解決すると分かっているので、呼んでいる方も「この発言は矛盾があるのだろうか?」と言う探偵役の立場になって真剣に読む事が出来ました。作品自体はすごく短くて小一時間で読める話なんですけどね。

この本は、碓氷優佳シリーズの最初の巻です。以前たまたま読んだわたしたちが少女と呼ばれていた頃が碓氷優佳と言うクールな女性の学生時代に迫るシリーズ0巻のような扱いで、それからこのシリーズ自体に興味を持ったので読んでみました。

鋭い舌戦で話を進めて行くいつもの石持節で面白く読めたんですが、何よりもヒロインの碓氷優佳が良い味出してます。その場に応じた表情を理屈で考えてかぶるようなクールで賢い女性なんですが、その彼女が探偵役となり思考をトレースするような推理で、これまた頭の切れる犯人のロジックを崩していきます。

そこからの展開が本当にぞくっときました。クールなヒロインに冷静に問い詰められていくのって快感だったんですね!!詳細を書きたくてうずうずしているんですが、流石に最後の展開を書く訳にはいかないので、気になった人は是非読んでみて下さい。自分はMなのかな?と思ってしまいました。

このシリーズは何冊か出ているみたいなので続きがとても気になります。石持節の頭脳戦に載せてクールな少女の活躍が見られるなんて俺得過ぎる。物語の全ての糸を握っているような碓氷優佳の魅力にメロメロです。




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