Marumaru's TinyPlaza
(2015.11.21)(book)ハレルヤオーバードライブ!完結に寄せて
大好きな作品の一つである、ハレルヤオーバードライブ!が完結しました。
音楽をテーマにした爽やかなボーイミーツガールで、非常に楽しませてもらいました。最後で、メンバー全員がそれぞれ自分の将来を決める過程を描いているのが綺麗な終わり方でした。
そして、序盤からの流れが最後で綺麗にまとまっていたので、最終巻を読みながら気づいた部分を1巻と比較しながらまとめていきます。
音楽の魔法
「小雨は音楽の魔法を信じるかい?恋と一緒だよ。」
ハルさんのこの台詞から全てが始まったと言っても過言でないハレルヤオーバードライブ!、この言葉にはこの物語の全てが詰まっている気がします。
ちなみにこの台詞ですが、このシーンは最終巻でも回想として使われています。
うん。画力向上しすぎ!だんだんと絵が魅力的になっているなぁとは思っていましたが、最終巻を読んだ後で1巻と比べてみると、改めて絵柄の違いに驚きます。
魔法の結果
音楽の魔法と同時に、恋にも落ちてしまった小雨。ハルさんが好きという気持ちを伝えるが、鈍感なハルさんは、小雨が音楽に目覚めてくれたと勘違いし、金属理化研究部へ加わった新しい仲間を歓迎するんですよね。
そして、その魔法がどうなったかというと・・・・・・。この絵に全て描かれています。この作品を象徴する表現である「雨粒」と「波紋」。この表現があったからこそ、歌詞もメロディも分からない作中の曲達を、まるで目の前で奏でられているかのように活き活きと感じる事が出来ました。
「波紋」を「音」、そして「雨粒」を「想い」と解釈するならば、2人の演奏が重なる事で、気持ちも通じ合ってるんですよね。これは説明をするだけ野暮なのかもしれません。
約束と呪い
このシーン、好きです。
ハルさんと小雨が両思いになった直後、アメリカへ発つと言うハルに、帰ってくるまで待っていると返した小雨に対する、ハルの言葉。
「約束に囚われて君が幸せを逃すなら・・・それは呪いだよ。」
しかし小春は、ずっとハルさんを歌いながら待っていると言います。そういう未来が良いんだと。
約束が好きな人の重荷にならないと確信し、作中の言葉を借りるなら「この人となら何があっても大丈夫」と感じた「瞬間」、ハルさんは自らのヘッドフォンを小春に譲ります。約束として。
これって、完全に婚約指輪の代わりですよね。シーン的に、ハンサムな彼女の最終巻を思い出してしまいました。
ちなみに、ちょっとこじつけですが、ハルさんは1巻でも小春にイヤフォンを片方だけ渡しています。
「あの子に聞いてほしくて ただそれだけで歌くぼくさ」
そんな小春の気持ちを代弁した歌を聞かせて、ちょっとイタいけど、そういう人好きだよ。と言うハルさん。そして音楽という恋の魔法に落ちてしまった小雨は、ハルさんに歌を届ける為に一生懸命歌う訳ですね。こうやって見ると、この作品のテーマって最初からブレていないんだなぁ、と。音楽を介したボーイミーツガールの王道ですね。
おねーさんの言う事を信用しなさい
ハルさんが年上としての威厳と余裕を見せ付ける台詞ですが、この台詞も1巻と最終巻で2回登場しています。
一度目は、1週間猛特訓した小雨がハルさんとのセッションを前に緊張している時。「全部忘れて楽しめ!」と。
二度目は、両思いになった後、2人はきっと何とかなる、という未来への確信。
この二度目のハルさんの表情が愛おしすぎる。
こうやって比べてみると、音楽と恋って両方、未来を明るくする「魔法」なんだな、と。
しかし、ハルさんの将来の姿とはいえ、あの表紙は色々と反則だと思うんだ。