Marumaru's TinyPlaza
(2016.06.14)(book)カエルの楽園
『カエルの楽園』/百田尚樹
新聞を読んでいたら、広告欄で読者の賛美の声と共に載っていたので、好きな百田さんの本という事もあり読んでみました。
皮肉に満ちた本でした。今の日本が抱える問題ー少子化、晩婚化、選挙制度、憲法九条、領土問題、自衛態、米軍、近隣諸国、平和ボケ、在日、自虐史観、etc……。そんなものをカエルの国での出来事に例え、とても分かりやすく描かれていました。
うん、とても分かりやすいんです。百田さんはもともと構成作家なので、伝えたい事を簡易な言葉で的確に伝える能力に長けています。だからこそ、読み始めてすぐに、この本が何を言いたいのかがすぐに分かり、少し複雑な気持ちになったんです。
こんな絵本のように分かりやすく説明しないと読者に伝わらないと思われているんだ、と。ちょっと読者を馬鹿にされているような気がしました。
だからこそ、(広告だから当然だとしても)新聞に並んでいた「感動しました」「夢中になって睡眠不足に~」とか言った安易な賛美の声にも疑問を持ちました。
ですが、とても分かりやすく書かれている「今後の日本」(として例えられているもの)も、それなりに百田さん視点のバイアスがかかっています。それ感じたからこそ、作家が著書を使って過剰に政治的な思想を流布するのはどうなの?と思ってしまいます。あれだ、小林よしのりのゴーマニズム宣言に近いかもしれない。
ちなみに、作者がこの本で言いたかった事は、「三戒(作中における九条の比喩)は宗教みたいなものだったんじゃないかな」だと思っています。
ここからは私見ですが、宗教は心の拠り所として必要なものです。信仰する事で心に安寧が訪れ、明日への活力が生まれる大切なものでしょう。しかし、三戒(九条)を馴れ初めも意味も知らずに、ただ平和をもたらしてくれるものと崇めて、盲目的に信仰する事は違うと思うのでる。それではただの思考停止です。
凄惨な争いは起こしてはいけない。平和は何より尊ばれるものだ。それはその通りです。だけど、「争いダメ!平和最高!」と声高らかに叫ぶだけでは宗教だと思うんです。今の平和がある生い立ちを知り、平和を続ける為の努力を続けなければいけない。そして、平和を求める事と、力から目を背ける事は違う。
1時間で読める本なので、興味を持った人は読んで欲しいです。そして感想を教えて下さい。