Marumaru's TinyPlaza

(2016.09.01)(movie)君の名は。

『君の名は。』


新海誠監督の最新作。

映像は今までの新海作品の集大成+αという感じで本当に綺麗でした。秒速の都会の風景、星を追う子どものファンタジー風の景色、ほしのこえからの星空や宇宙の描写、言の葉の庭の雨描写、そして全作品を通じて新海作品を象徴するような光の描写。今までの作品を振り返っているような綺麗な描写でした。アナログ風の描写や紅葉のシーンは新境地と言えるかもしれません。

それとRADWIMPSの曲をシーンに応じて4、5曲使っていたのでEDロールを見ながらラッドのミニアルバム!?と思ってしまいました。曲の詞が内容やシーンに合わせて作られていると思うので、非常にマッチしていました。

新海作品を観た事が無い人は多分楽しめる内容なんじゃないでしょうか。



ここからネタバレです。スクロールして読んで下さい。




























相変わらずの箇条書きです。ボロクソな事書いていますが、私は新海さんファンです。むしろ新海作品大好きです。

  • 盛り上げ方が違うでしょ!最後に山頂で再開して終わりじゃないの!?最後の20分が完全に蛇足に感じた。
  • ずっと「時間と距離を越えて伝わる想い」をテーマに作ってた(と言うかぶっちゃけそれしか引き出しが無い人)んだから最後に山頂で時間を越えて出会うんじゃないの!?
  • んで、そのラストシーンで主題歌を流しながら、視点をグルグル回して光を当てる演出が新海さんの真骨頂じゃないの?馬鹿にしてるんじゃなくて、こういう演出をさせたら新海さんの右に出る人なんて絶対に居ないと言いきれるぐらい完成されたレベルの高い演出だと思っています。
  • 以前の新海さんなら最後の引き伸ばしは無かった気がする。
  • 一般受けする為のハッピーエンドにする為の引き伸ばしに見えた。
  • あそこまで引き伸ばして、最後は視聴者の想像に丸投げなんだったら、繰り返しになるけど山頂で再開したシーンで終わらす丸投げにして欲しかった。
  • 発破のシーン、ハリウッド的なものを主張してる気がするんだけど、多分新海作品にそんなものは求められていないと思う。雲のむこう~の銃撃戦のシーンを思い出した。
  • 花澤さん、また教師役!?というかこれ、言の葉のユキノ先生だよね?新海さんのお気に入り??言の葉が2013年公開だから、作品がリンクしてるのかも。
  • 見てなかったけど、ユキノ先生の靴って彼の手作りだったりするのかな。靴って映ってたっけ?
  • 自分の中での新海作品ランキングは、ほしのこえ=秒速>言の葉>星を追う>>>雲のむこう(評価外)
  • 60分を超える新海作品は要注意っていう持論がまた固まってしまった。やっぱり新海作品に壮大な物語は要らないと思う。
  • 映像プロデューサとしては本当に最高の人だと思う。PVやOP等。
  • 開始5分で、物語、完!って感じがすごかった。それぐらいあのOPは本当に綺麗にまとまっていたと思う。
  • 神楽のシーン気合入ってた。口噛み酒の一連のシーンがフェティッシュだなぁ、と。
  • 最後の数年後のシーンは……秒速で評判だったのかな?
  • 最後、一度すれ違ってそのまま行っちゃうんだ。新海作品的には、すれ違った後に振り向いて泣きながら叫びながら全力で駆けて行くんじゃないの?シーン的に大雨が降っていて傘を投げ出して走っても良いぐらい。
  • スマフォに書いたメモの文字が段々と消えていく件、ほしのこえのセルフオマージュかと思った。
  • 最後のマンションから出るシーン、実は大人になったタキとミツハが隣同士に住んでたのかと思った。と言うかあの最後をつけるならそれぐらいはやって欲しかった。
  • キャラデザがサマーウォーズを思い出した。
  • ミツハが父親を説得するシーンは入れて欲しかった。
  • なんだろ。友人周りの描写と星を追う~みたいなファンタジー要素と最後の引き延ばしが丸っと尺伸ばしに感じた……ってのは言い過ぎかな。でも、それぐらいに余分な要素をそぎ落として、小さな世界で語るべきエッセンスだけを魅せてくれる物語を私は見たかったのかもしれない。
  • 星を追う子供でポストジブリみたいな風に担がれて、今作で青春泣き作品の代表みたいな感じで担がれている感じを受けたんだけど、そんな仰々しいものじゃなくて、新海さんの魅力は、時間や時を越えて存在する想いっていう純粋で切ない事柄だと思う。だけど、その大舞台に担ぎ上げる花道を作った人達は本当にすごい。
  • 極限脱出 9時間9人9の扉を思い出した。

箇条書きというかまとまりのない殴り書きですが。さて、他の人はこの映画をどう思っているんだろう。他の人の感想を見るのが楽しみ。



(2016.09.03)(book)ソードアートオンライン(18)

『ソードアートオンライン (18) アリシゼーション・らスティング』/川原 礫


第9巻から10冊に渡って続いたアリシゼーション編もこれで一区切りです。

主人公キリトが無双しながら活躍する、所謂、俺TUEEEEEEEEEEE!!を見事に体現した作品ですが、この巻はそれが特に顕著でした。アリシゼーション編の途中から半ば退場状態で久々の活躍だから仕方ないにしても、どれだけ万能の力を持っているんだっていうね。

ただ、その強さを受け止めて対峙してくれる敵方がちゃんと描かれていれば、どれだけ主人公が無双しようが読んでいる分には気持ちが良いものです。強さの理由もご都合主義と紙一重の伏線として書かれていましたし。むしろ、最後のこの展開に向けて物語の全てを収束させたのかも。

MMORPGモノの元祖的な扱いになっているソードアートオンライン(SAO)ですが、私はこのアリシゼーション編が一番好きでした。仮想空間の中ポリゴンで描かれたMMORPGとは違い、人の意思をデータ化したのものをサーバの中に展開する事により、夢を見ているような状態でプレイ出来るVRとは全く違うシステム。そして、それ故に人の想いの力が時としてシステムを超えて具現化するという設定にとても惹かれていました。(最初読んだ時に某アースのセフィーロが浮かびましたが)

そして、アリシゼーション編のもう一つのテーマである、仮想空間との現実世界との融合。利便性等の関係で、集会等が仮想空間の中でアバターを関して行われるようになった時、AIと人間の区別は一体どうやってつければ良いのだろう?そんなSFでは古典的なテーマですが、身近なMMRRPGベースの世界で行われると、やっぱり夢中で読んじゃいます。

更に、五感の全てを投じて行う仮想空間での生活は、認識という点において現実世界と何が違うのだろう?というテーマも同時に書かれています。この辺りは、アリシゼーション編の一つ前の短編であるマザーズ・ロザリオでも触れられていたように思います。結局は自分の認識しているものが全てなので、本人の意識と想い次第なんだとは思いますが。

このSAOシリーズは最初のアインクラッド編が終わっても、茅場晶彦が遺した意志とシステムを巡って話が進んでいき、この巻でも肉体はとうに亡くなったはずの茅場の意志に翻弄される展開がありましたが、ここまで引っ張ったのなら、キリトと茅場の直接的な絡みを書いて欲しかったなぁ、という希望もあります。天才の見えざる手に翻弄させる展開は好きですが(全てがFになるシリーズの四季のような)、最後にカタルシスを得させて欲しかったです。

それと、最後の一連の展開を素直に楽しめなかったのは、年を取った証拠なのかな?感じました。



(2016.09.18)(book)初恋の世界

『初恋の世界』/西炯子


40歳になったカフェの店長が主人公のボーイミーツガールもの。むしろ、レディミーツジェントルメンとでも言うべきか。

価格のかわりに美味しい珈琲と安らぎの空間を提供する高級志向珈琲チェーン店で働く主人公。ひょんな事から、自分の地元の店舗へ転勤になった。地元の同級生や仲間との再会を経て感じる時の流れ。そして、田舎での集客にカスタマイズされた店舗に驚きを隠せずにいるところに、その田舎ナイズの張本人である年下の男と出会うのだか……。

表紙の絵柄から感じられる通りの、雰囲気の落ち着いたお話でした。エマやビブリア辺りが好きな人は多分好きな話。ただ、思っていたよりはだいぶ恋愛要素の強い物語みたいです。

自分が年を重ねるにつれて、同じく年を重ねた登場人物の話に興味を惹かれるようになってきた気がします。ただ、そこはやっぱりフィクションなので、冷静にみるとこんなの有り得るか―って感じなんですけどね。

しかし作中でも触れられていましたが、自分自身は年齢を重ねても精神状態は昔のまま(気持ちは若い)って思っているところがあるし、今のご時世、色々と晩年化が進んでいるから大丈夫だろうというエクスキューズを携えてはいるものの、若くして結婚した周りの友達の子供の年齢を聞いてしまうと、一気に現実に引き戻され、タイムリミットと戻れない時間の大きさを感じてしまいます。



(2016.09.24)(book)ドッグファイト

『ドッグファイト』/楡周平


フィクションという事で名称は変更されているものの、ヤ○ト運輸(作中名:コンゴウ)とamaz○n(作中名:スイフト)のお話。

スイフトの配達を一手に引き受けるコンゴウが、物量を盾に執拗な値引きとサービスを要求される現状に痺れを切らした若手が、起死回生の策を講じるというあらすじ。

フィクションですが実情をよく調べて勉強した上で書かれている印象。ネット通販業界の事も、運輸業界の事も、過疎と高齢化に悩む地方の事も。

ストーリーも、現在の業界模様を踏まえつつ、起死回生の秘策を講じたコンゴウによってもたらされる明るい近未来といった感じで、面白かったです。海外資本の血も涙も無い効率主義によって食い散らかされ、自らの足を食べるような状況を強いられる運輸業界が、商いの原点に還った手法によって明るい未来を築いていくってストーリーは、最終的にちょっとご都合主義を感じたものの、惹き込まれる内容でした。

そして登場人物もキャラクタが立っていて分かりやすく、特にスイフトのやり手女性執行役員とコンゴウのちょっと頼りない課長の対決という構図はベタですが盛り上がりました。(逆転裁判の成歩堂龍一VS狩魔冥辺りを想像してもらえば分かりやすいかと)そして、この女マネージャーである堀田の書かれ方が上手い。悪役として描かれているのに、どこか憎めない良いキャラクタでした。

こういった話を読むたびに思い出すのが、漫画「いいひと。」で主人公の北野優二が言っていた言葉で(詳細は違うと思いますが)、「モノには売る人も、買う人も、流通の人も、モノにかかわる人がみんな幸せになる価格があるんだ」と言う台詞。安さはとても分かりやすい説得力を持った基準で、安さを越える優位性を示す事は難しいけれど、度を越えた安さを実現する為には何らかの理由があって、それは回り回ってみんなの幸せを蝕むものなのかもしれません。モノを売ることで、モノに携わる人みんなが幸せになれるって、本当に素敵な事なんですよね。

それと、コンピュータやネットによる効率化の恩恵は計り知れないものがあるんですが、状況によっていはアナログの方が良い部分があるのは実感として思っているところです。この話では、その部分をとても分かりやすく描いていました。システムで作業の効率化を図るのは気持ち良いんだけど、人が少なくて、パソコンや携帯端末を使う人がすくない状況だと、アナログの方が何かと便利な時って多いので、その辺りをTPOに応じて使い分け、上手く組み立てて行く事について考えさせられました。

純粋に読み物としてとても面白かったので、機会があれば是非読んで貰いたい一冊でした。オススメです。



(2016.09.27)(book)お任せ! 数学屋さん

『お任せ! 数学屋さん』/向井 湘吾


数学をテーマにしたボーイミーツガールもの。図書館に行った時に返却棚に並んでいたので手に取ってみました。返却棚は自分の感性だけじゃ選ばない本との巡り合わせがあるから面白い。

同じようなテーマの話が多く出ている中で、完成度が高かったと思う。数学で世界を救うと考えている主人公の転校生とヒロインが、「数学屋」というお助け組織を始めて学校の問題を解決していくんだけど、ちゃんと数学を使って現実的な解決方法を導き出していたのが良い。

数学と言っても数字が並ぶ計算ではなく、「こんな事も出来るんだよ」という興味を持たせてくれる作り。

そして、問題解決の一環として行う、「恋」を数学で解決する件からラストの流れが素晴らしく甘酸っぱかった。

とは言っても、ポプラ社なので、大人が読むと言うよりも子供が読んで数学への興味を増し、抵抗感を減らすような本だと思う。



(2016.09.29)(music)ラブライブ! μ's Final LoveLive! 〜μ'sic Forever

『ラブライブ! μ's Final LoveLive! 〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜 Blu-ray Day2』



待望のFinal LoveLive!のライブBD。ライブは抽選に外れまくったのでライブビューイングで1日目だけを見たので、2日目は初めてみます。

ライブビューイングは大画面で他のファンの人と一緒にライブ感を共有出来るのが魅力ですが、BDはがっつりと編集されているので、カメラワークとか音のバランスとかが良いですね。一歩引いたところから完成品を眺めている感じがします。

MC、1日目「まだ明日がある」的な部分があったんですが、2日目はもう「やりきった」って感じで1日目よりあっさりしてました。誰よりも長くμ'sの側に居た彼女達だからこそ、Finalライブで感傷に浸るのではなく、6年間の集大成として完成度の高いものを出し切ろうとする気持ちを感じました。

Finalライブが終わってから、所謂μ'sロスと言うんでしょうか、心に穴が開いたような、どうしていいか分からない気持ちがあったんですが、2日目の本当に最後のライブをBDの編集済み完成版という形で見た事で、終わったんだなぁという気持ちの整理が付きました。

いいえ、μ'sの9人(+9人)はこれからもずっと心の中で生き続け輝き続けますが、活動の一区切りとしてFinalライブという素晴らしい場があったという記憶が刻まれる事と思います。

どの曲も、演出も衣装も全て最高だったと思いますが、思い出すまま何点か挙げるなら、リリホワの引いたカメラワークから見たときの完成されたアイドル感、くっすんの回りっぷり、えみつんのMCコメントは今までリーダとして背負ってきたものの大きさを感じずにはいられません、NO EXIT ORIONのシカ子さんの瞳の強さ、BIBIの底無しのテンションの上がり具合、スノハレの安定感と観客席の輝き、MOMENT RINGの歌詞のリング具合、僕たちはひとつの光は色々と言葉に出来ない。

そして、9人揃ったμ'sの姿を見ているだけでこみ上げてくるものがありました。

ここにくれば、輝くμ'sにいつでも会える。そんなタカラモノを抱きしめて、歩いていこうと思います。




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