Marumaru's TinyPlaza
(2016.10.05)棟方志功展に行ってきた
井原市の田中美術館で棟方志功展をやっていたので行ってきました。
- 井原市立田中美術館 秋季特別展(自主企画) 棟方志功―平櫛田中を「先醒」と呼んだ板画家
棟方志功は井原市出身の平櫛田中(でんちゅう)を「先醒(せんせい)」と呼び慕っていた事から、井原市の美術館で特設展が開かれたみたいです。
版画(棟方志功は版画を「板画」と称していますが、便宜的に版画と言います)には明るくなかったのですが、既存の版画のイメージを崩す彩かなな色彩に驚きました。
何より実物を近くで観ると、重ねて刷ってあるせいか油絵のような立体感があるんです。これは棟方志功が得意とする裏彩色という裏からする技法の効果もあるのでしょうが、表のはっきりした色と、裏彩色の淡い色が重なって何とも言えない立体感でした。
裸婦をモチーフにした作品も多かったんですが、顔と足先以外を黒塗りにして表情を際立たせているのでしが。黒いシルエットで描かれた女性のラインと豊かな表情が相まって魅力的でした。
棟方志功の女性画について詠んだ歌でこんなものが紹介されていました。
「志功描く女の顔はいとあやし 遊女ともみゆ 菩薩ともみゆ」
この歌を読んでまさにその通りだと納得しました。観れば観るほど、慈愛に満ちた優しさと妖艶なあだっぽの両方を感じられるんです。
そして、谷崎潤一郎の小説の表紙や挿絵を製作していたのも興味深かった。ミュシャにしてもそうですが、商業の絵と言うのはお客さんの目を惹きつける、要は売れる事が求められるので、非常に注意を惹く分かりやすく魅力的な作品なんですよね。テーマに沿って製作されているので作品自体と元のテーマの両方に興味を持たせてくれます。
棟方志功の作品だけでも、初期の油絵や自画像等の珍しい作品を含め結構な数があり、それ以外にも田中さんとの遣り取りした手紙や、棟方志功が観て感銘を受けたであろう田中さんの作品と、かなりのボリュームで大満足でした。美術館は面白い展示だと作品の魅力にあてられて疲れますね。
余談ですが、田中美術館常設の鏡獅子製作の試作品は何度見ても迫力があります。
(2016.10.06)世界の民族衣装展に行ってきた
矢掛のやかげ郷土美術館に市田ひろみの世界の民族衣装展がきたので行ってきました。
- 市田ひろみコレクション 世界の民族衣装展 ~守り継がれた手仕事をたずねて~
民族衣装って魅力的です。その国、その土地の空気を感じられる彩りがあるんですよね。
それに、民族衣装って儀式や婚礼に使われるものが多いので、たっぷりと布を使ったボリューム溢れるシルエットも魅力的だし、何より、着る人の幸せや権力を示す為に、手間やお金を惜しまずに作られた上質なものが多いんですよね。
特にユーラシア大陸系のは刺繍がすごい。近くで観ると眩暈するような細かくて重たい刺繍がびっしりと施されていて、製作期間も数年とかってレベルなんですよ。商品として売る為のものじゃなくて、大切な人に着て貰う為に魂を篭めて作った一点ものなんですよね。
地方によってデザインや色彩は異なれど、その想いは同じはず。晴れの日を想いの篭った装いで迎えると言うのは素敵な事ですね。
民族衣装を眺めながら、その土地の風土や生活に想いを馳せるっていう贅沢な時間を過ごさせて貰いました。
強いて言うなら、ちょっと点数が少なかったかなぁ。市田ひろみさんの個人コレクションみたいなので仕方ないんでしょうが、他のものと絡めてもうちょっとボリュームを出して欲しかったような。
それと、私は優待券を使って鑑賞したんですが、この特設展って正規料金だと800円なのでちょっと物足りない感があるかも。もっとも、期間中に2日間、市田ひろみさんのトークがあるので、トークの日に訪れてる前提なのかもしれません。
(2016.10.15)(book)「電脳マジョガリ」狩り
『「電脳マジョガリ」狩り』/向井湘吾
「ウイング」としてゲーム実況をする北城翼は、春谷香織の姦計にはまり弱みを握られる事となる。レイプ犯としてネットに晒されたくなければ、「魔女狩り板」という匿名掲示板との戦いに手を貸せ、と。魔女狩り板との戦いは、まとめサイト管理人、情報屋、「踊ってみた」ダンサーなどを巻き込んで広がっていく。
2016年5月出版ということもあり、程よくネットの流行を取り入れたながらも、必要以上にネットスラング的なものに傾倒する事もなく読みやすい話でした。作者がポプラ社で児童文学を書かれている人なので、流石のバランス感覚と言ったところでしょうか。
ネットが舞台になっていますが、昔からある「魔女狩り」連鎖の構図にネットの匿名性を絡めた現代の魔女狩りの姿がテーマだと思いました。
面白かったんですが、少しご都合主義が強すぎたのと、最後の落としどころが今までの流れと噛み合っていないような気がしました。書きたかったテーマや設定はすごく伝わってくるんですけどね。テーマが多すぎて中途半端に掘り下げながら最後で無理やりくっつけた印象。
素直にボーイミーツガールで良かったんじゃないかな。むしろ、それが読みたかった。
(2016.10.16)(game)世界樹の迷宮Ⅴ25Fをクリアした
発売してすぐに買った世界樹の迷宮Ⅴですが、やっと第5階層、25Fをクリアしました。ストーリー上のクリアです。まだ第6階層や裏ボス群は居ますが、とりあえずの一区切り。
ラスボスには、全員のLvが60前後で辿りついたんですが、ちょっと調査がてら戦ってみたところ、「あ、こりゃダメだ」と思って、暫く準備を整えていました。
アンチョコと言う名のwikiを解禁して叡智を少しだけ拝借し、まずは第2階層封印の扉の先にいる敵を条件ドロップ付きで討伐。ウォーロック装備用の素材を入手しました。そして、第5階層25Fの隠しFOEを条件ドロップ付きで倒し、シャーマン装備用の素材を入手。ちなみに、このドロップ条件が「呪いの反射で倒す」なんですが、相手を呪いに出来る「呪いの香」が第5階層のちょうどFOEが出てくる辺りのフロアで作れるようになる辺り、上手い事バランス調整してるなぁ、と。
それからTP回復のアムリタを20個程作り、各種武具を揃える為に敵を倒し……最後にお金を50万程(最強防具は作成金額がべらぼうに高い)稼ぐ為に、採取PTを作って第5階層採取マラソンを無心で40回程やってました。
上で書いた25FのFOEなんですが、まあ強かった。ぶっちゃけラスボスより余程強かった気がします。余裕が全く無かったので条件ドロップは解剖用水溶液で。絡め手が多彩過ぎたので、ヒーラーの行動を確保する為に状態異常耐性のアクセサリを作ったりしましたが、その為の素材が別のFOEの条件ドロップだったりと、楽しい時間を過ごさせて貰いました(笑)
そして、準備を整えた後、ラスボスと再戦……した訳ですが、思ったよりあっさりと倒せてしまって拍子抜けでした。ちなみに、ラスボス討伐直後の状態です。
ウォーロック
火力が乏しい事で定評のあるうちのPTですが、その分防御・回復は有り余るものを持っているはずなので、基本的に敵の攻撃を全部受け止める方向で。シャーマンの祈祷:鎮守(6属性を25%カットってすごいよね)、各種属性祈祷、ドラグーンのバンカー、マテリアルガード、フルガード、ハーバリストのチェイスハーブ、エリアハ―ブ 、ユニオンスキルのイージスの盾辺りを使っているので、毎ターン何らかのバフがかかっている状態にして、明らかにヤバそうなターンは出来るだけ複数バフ。
攻撃は、ウォーロックの詠唱:圧縮術式付きアイスストリームをメインに。バフが整っている時は、シャーマンに三走り(INT参照)で氷ダメージを与え、ウォーロックのコモンマジックとのシナジーを発生させます。そしてハウンドにはスカイダイブで鷹を飛ばして、鷹が居ないターンはアムリタやアイテムで回復をさせるっていう、かなり地味な戦いでした。
ですが、ラスボスが氷弱点のおかげで(ラスボスに属性弱点あるって珍しいですよね)スキルの通りが良かったのと、終盤でスカイダイブの頭縛りが入って危ない攻撃を回避出来たので運が良かったな、と。
何はともあれ、やっと一段落。「長き神話の果て」というサブタイトルの意味を噛みしめながら、のんびりと次の冒険に向かうとしましょう。
余談ですが、DLCのFM音源パックがすごぶる格好良かった。後半戦の盛り上がるBGMをFM音源版で聞きながらプレイ出来たのは本当に幸せ。これだけはゲーム進行が遅くて良かったかも。
最後に、現在のQRコードを貼りますので、よかったらギルドカードに登録して下さいな。
(2016.10.18)(book)あなたの人生、片づけます
『あなたの人生、片づけます』/垣谷美雨
片づけ屋の女性が主人公の短編集。
片づけられないのは精神・心情的な部分に何か問題がある、という持論のもと片づけのアドバイスを通じて依頼者が抱える根本的な問題を解決していく話。
短編集なので手軽に様々なエピソードが楽しめる反面、依頼者の問題に解決の兆しが見え、新しい一歩を踏み出したところで終わる話が多いので、もうちょっと改善後の幸せな部分を読まして欲しいと思いましたが、多分それは蛇足なんでしょう。
どのエピソードも面白かったんですが、田舎の所謂「本家」の大きなお屋敷に一人住むお婆さんの話が印象的でした。昭和の主婦を守りながら、スーパーの安売りで買い置きをし、沢山の座布団や布団、使い古しの電化製品をメンテナンスをする生活。しかし、世代が変わり親戚が一堂に会する事も殆どなく、孫がいつ遊びに来ても良い様にと好物を備蓄し作り置きをするも、孫が最後に訪れたのは数年前。そして自慢の娘息子は久しく実家に顔を見せていないが、仕事で忙しいからと納得するも、実際は……。
一見きちんと整理されており片づけ屋の出る幕など無いように見える生活に潜む闇。何が大事で何が幸せなのかは、一度視点を変えて客観的にならないとなかなか気付けないものだと思います。
小説というより、ドキュメンタリーのような感じでした。基本、依頼者がみんな幸せに向かって歩き出すので、読後感は非常に爽やか。