Marumaru's TinyPlaza
(2017.01.02)(book)フライ・バイ・ワイヤ
『フライ・バイ・ワイヤ』/石持浅海
読み終わった時の第一印象は、「ハッピーエンドのマザーズ・ロザリオ(ソード・アート・オンライン7巻のサブタイトル)?」でした。ただ、それだと作品のテーマを三分の一ぐらいしか拾えていないかもしれませんが。
このテーマは人によって好き嫌いがあると思います。が、石持さん独特の会話でロジックを積み重ねて行く書き方のおかげで、あまり感情的にならずに読めました。
もう一つのテーマは、遠隔操作されたロボットの認識をどこに合わせるかというちょっと面白いもの。ロボットとして見るのか、その向こう側にいる個人を見るのか。これってネットゲームに通じるものがあると思いました。ネットゲームのキャラクタ同士が会話や戦闘を積み重ねて仲良くなった時、好意を持っているのはそのキャラクタなのか、そのキャラクタを動かしているディスプレイの向こうの誰かなのか……。
余談ですが、どうして病床に伏せる女性と聞くと、人は美少女を想像してしまうのでしょうか。これは、病床を薄幸や深窓に置き換えても同じです。これらの言葉を聞いた時に、何かしらの弱みを持つヒロインを自分が助けるっていう英雄譚を勝手に想像してしまうからなんでしょうかね。
(2017.01.02)慶祝新年
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
完全に自分の覚書と化しているブログですが、ブログに移行してから記事をジャンル分けするようになり、その年に自分がインプットしたものをまとめて眺めるのが楽になりました。そして検索もできるし、ブラウザ上から記事を更新出来る。
気づいてみれば、もうHTMLで更新してた時期よりもブログ形式で更新している時間の方が長いかもしれません。本当に早いものです。
何はともあれ、こんな場末のブログですが、ご覧頂いている方におかれましては本当にありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。
(2017.01.27)(game)恋と、ギターと、青い空。
『恋と、ギターと、青い空。』/Cosmillica
同人のノベルゲーム。レズビアンがテーマなんですが、自分の中では百合扱い。
仕事で失敗してリフレッシュ休暇を言い渡されたヒロインが、旅先で流しの弾き語りの女の子に出会う話。アメリカのホームドラマのようなノリとコテコテの言い回しが特徴。プレイ時間的にも1本の映画を観ているような感覚でした。
ちょっと最後が尻切れトンボ気味かなぁとは思ったんですが、下手に引き伸ばされるよりは良いかも。途中の伏線も最後で回収されるのかな?とちょっと期待していたんですが、一期一会で終わっちゃいました。
上手く言えないんですが、アメリカの空気って多分日本とは違う色彩で存在していて、それを表現しているようなゲームでした。アメリカの空気、触れたことないけどね。
あと、どうして紫髪のヒロインは胸が大きいのか。
(2017.01.29)(book)ツァラトゥストラへの階段
『ツァラトゥストラへの階段』全3巻/土橋真二郎
デスゲームもので個人的定評のある土橋真二郎さんの初期の作品。
この人の作品、『生贄のジレンマ』を最初に読んだんですが、未だにそれを超える作品に巡り逢えて居ない気がします。
特殊能力を持った主人公が、能力者だけが呼ばれる「囚人ゲーム」というのに参加をしながら、別れた姉の足跡を探す……ってストーリーなんですが、まず何よりもゲームのルール説明が不十分に感じました。主人公の周囲の情報だけ物語展開に応じて(読者に)公開されるので、ご都合主義を非常に感じました。
それと要素を詰め込みすぎ。特に、姉を含めヒロインの数を増やしすぎたんじゃないかと。最後の流れでどうして彼女を選んだかっていうのがちょっと納得出来なかった。あと、お姉さんどうなったの?
あと、能力的なものを便利に使いすぎ。電脳空間の絡みもあって、ちょっと何でもアリにやりすぎたのではないかと。
総じて、読むのに非常に想像力を使う作品でした。仄めかして終わるのと丸投げは違うと思うんだ。
(2017.01.29)(book)光秀の定理
『光秀の定理(レンマ)』/垣根 涼介
所謂、「モンティ・ホール問題」がテーマの一つになっている一風変わった歴史小説。
理屈を知っていても分かりにくい確率論を賭けに使い日銭を稼ぐ坊主とその坊主に引き寄せられた侍、そして侍に辻斬りにあいかけた浪人、明智光秀。
登場人物それぞれの立場は違えど、それぞれの立場に応じた、世の理みたいなものを考えながら物語が進んでいきます。群雄割拠の血なまぐさい戦国時代だからこそ、力ではなく叡智で世を生きていこうとする人たちのお話。理を説明するにあたって、原始仏教の教えを多く引用しているようでした。
個人的に面白かったのは物語が一段落ついてからの最終章。明智光秀の供養の為に本能寺の変の真相を登場人物が話し合うシーンがあるのですが、この小説で脈々と語ってきた理は、この最終章を説明する為にあったんじゃないかと思えるぐらいに面白かったです。
後で知ったんですが、最近になって光秀関係の資料が色々と発見されて、光秀の考察が熱を帯びていた時期だったんですね。
余談ですが、光秀の妻、煕子の描かれ方が非常に素晴らしかった。優しくて賢くて、恋人のようで母親のようで、こんな奥さんが居たら側室つくらないよね、と。
色んな要素が入っているので、どれか一つでもひっかかりがあれば楽しく読めるのではないかと。ここ最近読んだ本の中ではヒットでした。よかったらどうぞ。