Marumaru's TinyPlaza

(2017.07.14)(book)光る星座早見

『月の動きがよくわかる 三省堂 光る星座早見』



本のカテゴリに入れるか迷いましたが、最近買った星座早見盤がとても使いやすかったので、紹介を兼ねて覚書。

星座早見盤というのは、円盤が何枚か重なっていて、目盛に従って日付と時刻を合わせると、その日時に見られるであろう夜空の星が分かる便利なものです。

早見盤は何枚か持っているんですが、この早見盤の特徴は月齢と月の動き(何月何日の何時頃に空のどのあたりにどんな形の月が浮かんでいるか)が分かるところ。これは今までありそうで無かった機能です。

この機能によって、流星群とかを見に行く時に一番ネックになる月を動きを考えながら観測プランを練る事が出来ます。

それに畜光なので、お昼の間日の当たる場所に出しておけば、夜は光ってくれるのも便利。

空を1枚の円盤で表示しているタイプだと、どうしても実際の見え方とずれてしまうものですが、これは北の空と南の空を裏表で表示しているので、比較的ずれが少ないです。が、境目付近の星を見ようとすると、裏表ひっくり返しながら見ないといけないので、これは良し悪しかも。本格的なお椀型の早見盤だとその問題は解消されるんですが、如何せんお椀型は嵩張るので……。

ここまで書いておいてなんですが、月齢や夜空の星を確認するには「ステラナビゲータ」っていう安価で有名なソフトがありますし、スマフォやネットで手軽に調べられますし、実際に観測に行く時はネットや情報サイトで調べはします。

なんですが、ベッドや机で何気に早見盤をくるくると回しながら、変わって行く星空の様子を眺めるのは、アナログ感も相まって何とも言えないものがあります。四季の星座が手元にある感覚とでも言いましょうか。楽しいんですよ。



(2017.07.15)(book)ルビンの壺が割れた

『ルビンの壺が割れた』/宿のかほる


読者のみなさまへ

ここに公開するのは、ある日突然送られてきた、まったく名前の知られていない著者による、刊行前の小説です。
ものすごく面白く、そして、ものすごく奇怪な小説でした。
あまりにすごいので、私はいまだ、この作品にふさわしいコピーを書けずにいます。
よろしければ、この小説をお読みいただき、すごいコピーを書いていただけませんか。
(ただし結末は絶対に明かさないでください)

なお、以下からお読みいただける〈キャンペーン版〉は、2017年8月22日に刊行予定の本を2週間限定で事前公開するものです。
よって、まだ修正途中の原稿であり、2週間が経つと消えてしまうものであることをご了承ください。
詳しいキャンペーン案内はこの小説本文の後に付しました。
まずは、この稀有な小説を、ぜひお楽しみください。
そして、みなさまのご応募を、心よりお待ちしております。

担当編集者 拝

《担当編集者からお願い》「すごい小説」刊行します。キャッチコピーを代わりに書いてください! 『ルビンの壺が割れた』 | 新潮社


  • 《担当編集者からお願い》「すごい小説」刊行します。キャッチコピーを代わりに書いてください! 『ルビンの壺が割れた』 | 新潮社


編集者がキャッチコピーを考えられないから、読者のみなさんが考えて下さい。って、また上手いキャンペーンを考えたなーって思う訳ですけど、それで実際に刊行予定の小説を一冊丸ごと公開されたら、やっぱり気になって読んじゃいます。

「ルビンの壺が割れた」ってタイトルから、色々と考えちゃうじゃないですか。特にこんな企画で公開している作品だから。でも、そういう話ではなかったです。とにかく怒涛の急展開。短い話なんですが、それでも一気に終わりの頁をむかえていました。

ネットを流し見してる時に、体験談とか創作とかフィクションの話とかを開いてて、気付いたら時間を忘れて読んでる事がありますけど、それに近い感じ。文章が横書きだったのと、書き方の形式もあって余計に思ったのかもしれません。

で、読み終わって思ったのは、確かにこの作品に付けるキャッチコピーは困るかもしれない、ってこと。ジャンルが難しいよね。ミステリーには分類したくない。

予備知識ゼロで話題になってるうちに読むのが良さそうな本なので、少しでも気になった人はさくっと読んじゃった方が良いと思います。



(2017.07.18)(book)ハミングバード・ベイビーズ

『ハミングバード・ベイビーズ』(1巻+Web連載13話迄)/久住昌之・朔田浩美


女性2人がメインの音楽と酒と肴の話。

原作が「孤独のグルメ」、「花のズボラ飯」の久住昌之さんなんですが、ハイテンションでおかずの名前を呼びあげ、素材や作り方をレトリカルに謳っていく様は、まんま「花のズボラ飯」でした。

久住昌之さん原作の話で酒がちゃんと入る話を初めて読みましたが、うん、ただの飲兵衛じゃないか(褒め言葉)。

というか、オッサン(失礼)が話を描いてるせいで、女の子が主人公なのに、根底がやたらとオッサンくさくて非常に親近感を覚えるんですよ。普段はOLやってる美人の女の子がワンピース姿でギターを弾く姿なんて映えるに決まってるでしょ!ギャップもあるし。しかも弾いてるのはハミングバードだし、師匠仕込みの魅せるテクニックがあるとか、何それ、マンガみたい。

そのくせ、夜はお店の選択も注文の仕方も完全にオッサンだし。本当に最高。

やっぱりね、肴が美味しいとお酒も進むし、お酒が進めば会話も弾んで、その中で親しくなっていって、人生が絡み合っていくもんだよね。

しかし、音楽系の話かと思って読み始めたら、がっつりとグルメ……っていうか、居酒屋で舌鼓打ちながらがっつりと肴の礼賛をしてるグルメマンガでちょっと驚きました。



(2017.07.20)(book)君の膵臓を食べたい

『君の膵臓を食べたい』/住野よる


以前から気になっていて、何となくストーリーは想像ついたんですが、読んでもいない本をとやかく言うのも嫌なのでスルーしていました。が、映画化ということでネタバレを見る前に読みました。

核心に触れることを書いております。ご了承下さい。

恋愛小説は好きなので、甘酸っぱい青春ものならもっと素直に楽しく読めたんだと思いますが、他人との関わりを避けていた主人公がヒロインとの交流を通じて意思の疎通、心の遣り取りを覚えるストーリーなんですよ。つまり人格形成のお話。

なので、学生時代ぐらい迄だととても心に残る一冊になったのかもしれませんが、いい年したオッサンが傾倒する話でもないかな。と言うのが素直な印象。

ただ、それは自分が読んだ時期や、過去の多感な時期に同じようなテーマの物語に触れたからであって、話としてはとてもよく出来ていたと感じました。構成がとても綺麗で、伏線回収もちゃんとしている。後半の少し意外な展開からのラストまでの流れは惹きこまれました。

2000年前後、Kanon辺りが流行った頃に散々言われた事なんですが、人の「死」と言う物語におけるジョーカーを使うと、読み手の心は否応無しに動かされます。一番普遍的に最大公約数の人に共通する体験、感情と紐付けられますから。その終わりの形を早い段階で提示された上での心の遣り取り、その後の再スタートというテーマは王道過ぎるので、どうしても予想の範疇の感想で終わってしまいました。

ですので、小説でも映画でもいい、感受性の豊かなうちに、人格が形成されきる前に、王道ストーリーを王道だと感じずに素直に受け入れられる間に、触れて欲しい作品だと思いました。



(2017.07.24)(book)超高速!参勤交代

『超高速!参勤交代』/土橋章宏


いつだったか、映画館の続編のリターンズの予告を観て気になっていたので、1作目の小説を読んでみました。

とにかく分かりやすく、笑いあり、涙ありのエンターテイメントでした。本当にテンポが良い。場面が映像として頭に浮かぶのは、百田尚樹もそうなんですが、この作品は画面が動いている動画として頭に浮かびました。活字を読んでいるのに映画を観ているような感覚。

メインどころのキャラが分かりやすく立ってる事、ストーリーが分かりやすい事、必要以上に暗くならない事っていうのは娯楽において大切な要素なんだなぁ、と。

マッドマックス怒りのデスロードを思い出しました。



(2017.07.25)(book)ストラディヴァリウスを上手に盗む方法

『ストラディヴァリウスを上手に盗む方法』/深水 黎一郎


3篇のお話から成る短編集。

とにかく、楽器に関する薀蓄量が凄まじい。作者がクラッシック畑でピアノより弦楽器の方が好きと言うのがこれでもかと伝わってきました。専門分野で書かれた薀蓄たっぷりの小説は読んでいて楽しいです。知らない分野の追体験が出来るのが小説の魅力ですから。

ちょうど最近、「純正律」と「平均律」の違いの話を知り合いと話していたので、その辺りの内容が特に興味深く読めました。純正律と平均律に関する和音の話は、理屈としては分かるんだけど、感覚的にはピンときません。

話としては、処女作らしい最後の話以外は普通に面白いといった感じでしたが、クラッシックとヴァイオリンに関する薀蓄が楽しく読めるので、そういった意味でオススメ。

読後にワーグナーの舞台作品が観たくなりました。



(2017.07.27)(book)超高速!参勤交代 リターンズ

『超高速!参勤交代 リターンズ』/土橋章宏


前作が面白かったので、勢いで続編も読みました。

多分、こっちの方が映画の画面で映えると思う。

ただ、前作は「5日以内に江戸まで参勤する」テーマに絞って、そこに色恋沙汰や仲間との出会い別れを絡めていたのに対して、今作は湯長谷までの交代をメインには据えているものの、交代と並行して江戸での絡みや戦い、交渉等が入っていてちょっとテーマが散漫な感じ。

少数精鋭の遊撃隊的な参勤交代精鋭チームが、無理難題に挑む為に知恵を絞って挑む、少しでも身軽にする為に武器は持たない、という部分が面白かったのに(その代わり避けられない戦いは段蔵にまかす)、リターンズでは普通に武器を持って戦ってるんですよ。しかも、やたらと強すぎる。

結局、話を盛り上がる為とはいえ、主人部隊のチートぶりがちょっとやり過ぎかな、と。多分、その辺りも含めて映画として映像で観れば楽しめるんだと思う。

加えて、綿密な計画に基づいた1作目に比べ、参勤交代の計画が雑、と言うか行きあたりばったりだったように思いました。いくらなんでも丸二日不眠不休で走り続けるのは無理だし、そうなると馬なりの乗り物か、海路を使わないと間に合わないのは必然で、そうであるなら最初からそれを織り込んだ計画にして欲しかった。

と、愚痴を書いてしまいましたが、何だかんだでものすごく楽しんで読んでいました。何よりテーマが「参勤交代」なので、江戸までの参勤を終えた後に湯長谷までの交代を成し遂げないと、参勤交代を成功させたことにはならないので、このリターンズで初めて物語に区切りが付いたと思います。




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