Marumaru's TinyPlaza

(2017.10.02)(book)幸福のパズル

『幸福のパズル』/折原みと


私の世代だと「折原みと」ってどこかで目にした事が多いんじゃないかと思います。漫画だったり、ティーンズ向け小説だったり、詩集だったり、etc……。とにかく、乙女チックな恋愛の代名詞という印象がある人です。

と、印象にはあるんですが、実のところ作品に触れた事はあまり無かった著者の名前を、ハードカバー小説の広告で見かけたので読んでみました。あれ?一般小説も書かれるんだ?と言う意外性と好奇心が大きかったです。

内容ですが、いやー甘かった!特定分野で生業になる程の能力を持った、清純真面目それで居て芯の強いヒロイン。仕事、人間関係で彼女に襲い掛かる悲劇!でも薄幸のヒロインはそんな事では挫けない。万難辛苦をパートナーと共に乗り越えての大団円!!

あれですね。俺TUEEEEでやたらとモテる男が主人公の小説を女性版にするとこんな感じなんでしょうか。

少々茶化しましたが、物語の構成がとても綺麗でした。流石ベテラン作家。タイトルの「幸福のパズル」を人の幸せ不幸せに例えて使っていましたが、この物語自体が組上げられたパズルのようなお話です。

確かに、甘いストーリーでドラマチックな展開が続いて話を盛り上げるのですが(最大限の軟らかい表現)、決して短くは無い話の中で登場人物達が悩み、苦しみ、憎しみ、様々な紆余曲折を経て、全員がそれぞれの幸せを見つける終わり方は素晴らしかったです。心がほっこりと温かくなる読後感を得る事が出来ました。

ぱっと見た目は少女漫画のような甘い話なんですが、現実世界を舞台にして、人の心の機微を描く話で、登場人物そして読者も含め、関わった人を全員幸せに出来る話だと思いました。

余談ですが、本を読むまで全く知らなかったんですが、作中に湘南の海が舞台として登場して、そこで放送されているローカルFMが登場していました。ちょうど同じ時期に同舞台のミニFMを題材にした「きみの声をとどけたい」という映画を観て心を動かされていたので、妙な共鳴を感じました。




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