Marumaru's TinyPlaza
(2018.05.24)(book)ブラック企業に勤めております。
『ブラック企業に勤めております。』/要 はる
ブラック企業モノってジャンルで伝わりそうな小説。ネット発やサブカル界隈からじゃなくて、普通の文庫(なんだけ?集英社オレンジ文庫って)からこういうテーマの小説が出る事自体、何だか間違っているような気がしますが……。
タウン誌を発行する会社の事務に就職した夏実が、ブラック企業の個性的な愉快な仲間達とおくるドタバタ劇。ブラック企業という言葉が使われていますが、事務職の視点だからかもしれませんが、激務で死にそう!みたいな感じではなく、説教の長い上司を始めとする営業職の個性的な男性陣とのやり取りを中心とした人間関係で構成される話です。
事務の頑張る女の子が、営業の人達とやり取りするうちに気づいたらお客さん対応をしていて、問題を解決するっていうすごく分かりやすく読後感の良い展開。登場人物のキャラがすごく立ってるから、映像化しやすい気がする。そのうちドラマにでもなるんじゃないかな。と言うか、表紙のイラストだけで既にキャラが完成されている気がする。
特に、主人公が何度か発する決め台詞のようなものは、映像化した時の予告編映えすると思う。3巻ぐらいまで出てるらしいんです。
とにかくさくっと読める普通に面白いエンタメ小説です。下手すりゃ、こち亀みたいな文字の多い漫画・ちゃんと読み込まないといけない漫画より早く読めるかもしれない。何かの待ち時間が発生する際に鞄に入れておくと間違いがないタイトル。
(2018.05.24)(book)幾日
『幾日』/幾花にいろ
エロ漫画ですのでご注意。
少し前からとても気になっていた作家さんの初単行本です。表紙がピンク過ぎる。
この作家さんの絵柄、エロ漫画にしては珍しい絵柄なんですよ。アフターヌーン系と言うか、青年誌・少女漫画風と言うか、主線をあまりはっきり描かない絵柄です。鉛筆のラフな線を残した感じと言えば良いのか。
そして、ストーリーがとても好き。1話完結の短編集なんですが、女性のギャップの描き方がとても魅力的なんです。最初はとっつき難い感じだったけど、実は積極的だった、とか愛嬌があった、とか。で、そのギャップを見せるキッカケになるのが、ヒロインが主人公に向ける好意なんです。ギャップに驚きながらも新しい一面を見られて喜んでいる主人公に、ヒロインが自分からその理由を話す、みたいなシチュエーションが多いんです。
一話20Pぐらいの短い話の中に、男女の出会いからヒロインがギャップを見せるに至った心の機微、そして成人漫画らしく情交を結んで、致した後の余韻を残しながら物語を〆る。そんなメリハリのある物語構成が好きです。
あと、主人公が最初はヘタレな事が多く、ツリ目のヒロインがリードして、最後は主人公が男を見せるっていう展開、王道だけど良いものです。
色々と語りたい事はあるのですが、仔細を語りだすとサイトの趣旨から外れてしまうのでこの辺りで。気になった方は是非読んでみて下さいな。