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(2019.05.23)(book)〈古典部〉シリーズ

『〈古典部〉シリーズ』6巻まで/米澤穂信


いわゆる「氷菓」です。同名アニメを以前に観てから気になっていた作品です。が、氷菓のアニメは最終回4話前ぐらいで見始めて、当時はその独特なテンポがよく分からなかったものの、絵が綺麗でそのまま見続けていました。最終回の話(遠回りする雛)が絵の綺麗さ、話のテーマとしても印象に残っています。

で、今になって原作をちょこちょこ読み出した訳なんですが、アニメから入っている分、キャラクタと声が頭に浮かぶのは良いです。アニメって原作キャラクタのイメージを崩さすに上手く映像化してたんだな、と。

アニメで半分ネタになってしまった千反田えるの「私、気になります!」の台詞ですが、原作でも同じように言っていてすこし驚きました。特に序盤の方は本当にそのままの感じで言っていて。ただ、ネタ的に言うのではなくて、原作では純粋にえるの好奇心の強さを表す台詞として違和感無く使われていました。

そして、アニメを見ていた当時は分からなかったんですが、この作品って所謂、安楽椅子探偵モノだったんですね。折木奉太郎が探偵役の。省エネ主義の奉太郎が気づいたらやっかいごとに巻き込まれてしまって、周りから話を聞いていくうちにヤレヤレ的に真相を見抜いてしまう。事件の真相そのものよりも、その真相に至る登場人物の心の機微が良いです。高校を舞台とした学園モノということで甘酸っぱい青春を堪能させてもらいました。

これは物語のテーマにもなっていますが、人が死なない推理モノって割と珍しいです。その分、どうしても会話が増えて、事件は解決したけれど表面上の見た目は何も変わっていない、という会話劇がこの作品の魅力なんだと思います。最初にアニメで見たときはその特徴に対して違和感を覚えていたのかもしれません。

余談ですが、この小説に高校時代辺りに触れていたら変な方向に性格を拗らせていた可能性が大きいので、大人になって出会ってから良かった作品だと思いました。

アニメでは最終回と言う事もあり、遠回りする雛(原作4巻最終話)でえると奉太郎の関係の示唆が演出効果も使ってとても印象的に描かれていましたが、原作では普通に続いていきました。眠りについた奉太郎の心を、えるが目覚めさせる日は来るのか。もう既に気づいている奉太郎ではあるけれど、その気持ちを自分からえるに打ち明ける日は来るのか。私、気になります!




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