Marumaru's TinyPlaza
(2019.07.19)(movie)天気の子
『天気の子』
観て来ました。封切り日レイトショウIMAXシアター。
新海監督、キレッキレでした。触るものみな傷つけちゃう。だけど、新海監督のエッセンスは満載で大好き。
Twitterでも書いたんですが、感想を一言で言うなら「雲のむこう、約束の場所」と「星を追う子供」を足して2で『割らない』なんです。新海監督の良い意味での新境地だと思いました。
そして、「セカイ系」って言葉は便利ですね。私を含め新海監督ファンに多いと思われる「最終兵器彼女」辺りが好きな人ならとても楽しめるのではないかと思います。
※ここからはネタバレを含みますのでご注意下さい。
観た直後の感想を箇条書き。思いつくままに書き殴ってるので読みにくいです。
- 花火大会直前のビルの上で祈ってるシーンがまさに新海監督美術の真骨頂ですよね。本当に神々しくて美しい。あのシーン、壁紙にしてずっと眺めていたい。
- まさかの花火のシーンでのカメラアングル回転。回ってる時に全くカクカクしていないというか、美しいんだけどCGっぽさが無くて本当にすごい。
- やっぱり空と光と雨の表現は他の追随を許しません。今回はテーマ的に空と光と雨が思う存分堪能できて、新海監督の映像美の集大成感がありました。
- そして、「君の名は。」の瀧くんと三葉の出演。瀧くんが出てきた時に、んん!?って思って、デパートで三葉が出てきた時に(組紐もあって)確信して、エンディングロールで「あ、名前出しちゃうのね」と。新海監督の映画ってこういうクロスオーバーがちょくちょくありますよね。
- 現代が舞台ってことで様々なメーカーとの実名コラボがありましたが、高収入バニラの存在感!
- 3人で入ったホテルはやっぱり聖地になるんでしょうか。特定班はよ!
- と思ったら、公式TOPに舞台訪問に関しての注意書きが。かなりぼかして書いているけど、要は「未成年はラブホに入るな!」って注意も含まれていると思う。
- 最後の台詞「大丈夫だ」が曲も相まって作品のテーマな感じですね。狂った世界で、だけど二人だけは正しくそこに存在する。まさにセカイ系。
- この辺り「ほしのこえ」に対するアンサーに感じました。ノボルがミカコとのメールのやりとりで、「大丈夫だよ」と言う彼女に対し「何が大丈夫なんだ?」と悩むシーンがありますが、この作品の主人公ホダカは「大丈夫だ」と自信を持って答える。一貫して、時間や距離、そして様々な障害を越えて伝わる想いの存在を描き続けた新海監督の答えがまさにこの作品に現れているように思えました。
- 「君の名は。」がSF的にもエンタメ的にも綺麗にまとまり過ぎていただけであって、新海監督はずっとこのテーマを貫いていますものね。「星を~」や「雲の~」がそれを描くための舞台として少し冗長だっただけで。
- だけど今回は違う。映像も音楽も設定も、映画の全てのものが2人の想いを伝える為の小道具として正しく機能している。想い合う二人が居れば、それ以外の細かい設定は全て装飾品であって、正しさという整合性は必要ないんです。って観ながら興奮しちゃったぐらいに尖がってた。
- ホダカが鳥居に向かって非常階段を上っていくシーン、「ef - the latter tale」の天使の階段の逆を思い浮かべた人も多いんじゃないかと。あっちは螺旋階段から降りてくるヒロイン、こっちは螺旋階段(非常階段)を登っていく主人公。
- 加えて言うなら、傘のシーン、「はるのあしおと」を連想しちゃいますよね。えぇ、私はしました。
- もっと言うなら、天気の巫女のあの絵を見て、Y'sリメイクのOPの最初の壁画を連想してしまいました。
- しかし、現実世界が舞台って、現実を現実以上にリアルに美しく描いている作品なのに描写は色々と無茶していたような気がしました。私はフィクションに対して現実云々と比較するのはナンセンスと思っているんですが、世の中予想以上にフィクションに現実の法規を適応したくなる人が居るようで。(SAO劇場版で自販機を殴るキリトにあれだけ批判が殺到するとは想いませんでした。)そう考えると、バイクは詳しくないんですが、作中で乗っていたバイクって多分50CC以上で二人乗りが大丈夫な設定なんでしょうね、きっと。逃げてるシーンでもかたくなにヘルメットしてましたから、多分そのあたりはちゃんとしているはず。
- で、最近の映画にしては本当に格好良く喫煙シーンを描いていました。色々とエクスキューズを入れながら、ここぞっていうシーンで紫煙をくゆらせる姿は作品を引き締めていました。そう言えば「君の名は。」でも上手いこと使っていましたね。
- あの風貌のオッサンに「青年」って呼ばせると、どうしても……ねぇ。緒方英二の影がよぎってしまう。
- 大雨警報が出た時の東京の様子、エヴァみたいなアニメアニメした表現じゃなくて、でも実写でもなくて、新海さんの演出でリアルな東京の異常事態の様子が描かれるのが、不謹慎だけどとても綺麗だった。
- そしてとどめの真夏の雪。うん、ここまで来たらとことんまでやってよ!って観ながら思っていました。そりゃそうさ、愛の逃避行をするカップル(+α)には夜に雪の中で凍えるシーンがとてもよく映える。当然の事です。そして都会の夜景をバックに優しく舞い降りる雪の美しさ。
- 3人の雨合羽の色が信号カラーなのはおいといて、ナギくんの合羽の耳はあざとすぎじゃないですかね。ショタ好きお姉さん大歓喜の予感。
- ヒナがお風呂から出てきた時にバスローブをきっちり着ていたので察したけど、シーンだけ見ればなかなかに色っぽいシーンだよね、あれ。体が透けてるからおおっぴらに見せても大丈夫!っていう開き直りを感じる。
- PVで銃声が聞こえた時に、「雲の~」の再来か!と悪い意味で身構えてしまったんだけど、杞憂に終わって良かった。
- しかし、未成年とは言え取調室に入れようとしてる人を逃がすなよ……。
- ナツミとホダカの絡みがすごく気合入ってたように思う。流石新海監督、年上との情景を描かせたら右に出るものが居ない。
- あの事務所での雰囲気と言うか、ケイスケとのやり取りが古きよきDOS時代のエロゲを思い浮かべてしまう。私立探偵的なやつの。
- カナとアヤネ、やたらと名前を強調するなって思ったら声優さん繋がりの遊びなのね。
- 全部が全部は分からなかったけど、その他にも声優陣がかなり豪華で驚いた。
- ここまで描いて気付いたけど、ストーリーについて全然触れてなかった。だって、「新海監督だった」で終わるもの。
- 3年雨が降り続いても、その状況になれている人々の姿が妙に怖かった。現実味ありすぎて。
- 人生を棒にふって、って刑事さんの台詞があったけど、セカイ系の主人公はそれくらいじゃないと務まらないよね。全体的に、枯れた・ダメな大人と可能性に満ち溢れた少年の対比だよね。そしてエピローグで「青年」になった主人公は可能性を持った少年の未来として描かれている。
- 書き忘れてたけど、独白を多用した構成が本当に最高。主人公役の人の演技も上手いし、何より新海監督の書くああいうポエムが本当に大好きなんだ。
とりあえずこんな感じ。思いついたら後で加筆します。