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(2020.02.05)(book)戦争は女の顔をしていない 1

『戦争は女の顔をしていない 1』/小梅 けいと


うーん。気持ちが言葉に落とし込めない。読んでいて、涙が出てしまったので感情がすごく揺さぶられたのは確かなのだけど、言葉にしないと何を思ったのかが自分で分からないので自分の備忘録として。

戦争で沢山の犠牲者が出たのは事実。兵隊が男性だと惨たらしい話で、女性だと美談になるとかそういう話ではない。

ただ、男性は徴兵という形で強制的に戦争に駆り出され、自分の意思は関係なしに戦いに送り込まれる。それが男性の役割であり、国や家族を守るという御旗のもとに戦うのだから。

女性の場合も、戦時中という非日常の中で兵として従事せざるを得ない事も多いんだと思う。ただ、大切なものを守るために自分の意思で戦うという選択をした人も居る。

戦うのが当たり前、そもそも兵士≒男性という軍隊の中で女性が兵士で居るという事は、とても強い意思を持っているから成し得る事だと思う。だからこそ、そこら中に居る男性兵士よりも戦って成果を上げたいという気持ちの中で、生物的な性別の違いが邪魔をする。だけど、そんな事を理由にしたくない。そんなもどかしい気持ちと、気持ちではどうしようもない身体的な構造の齟齬の中で、戦うべき本当の相手は敵軍ではなく、自分自身なのではないか。

これは、この物語がインタビューという形式をとって、戦争を生き抜いて帰ってきた戦争従事者の話を淡々と綴った物語だから、余計にそう感じるのかもしれない。

男性であるのが当然で、その為に最適化された軍隊の中で、行動や髪の毛といった表面的なものを男性に適応させても、もっと根本的な部分での違いはどうしようもない。むしろ、我慢して押し込めれば押し込める程に露呈した差異は乖離していくのかもしれない。

軍隊という枠組みの中で時間をくぐり抜ける事は、男性なら心身の贅肉を根限り削ぎ落すようなものかもしれない。それで何かが取り返しのつかない事になる事も多いのだろう。もともとがまともではない状況なのだから。ならば、それが身体的にも社会的にも異なる人だったとしたら。

そんな体験談を粛々と書き記されたものをもとに描かれた話。その意味を自分で考える為の話。




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