Marumaru's TinyPlaza

(2023.04.13)(movie)ダンジョンズ&ドラゴンズ

『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇りアウトローたちの誇り』


『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇りアウトローたちの誇り』


ネタバレ気にせず書いています

副題の「Honor Among Thieves」を「アウトローたちの誇り」っていう訳し方をしている以外は最高に面白かった。割と本気で、なんで邦題を付けるのに英語なんだろ。しかもThievesとoutlawはニュアンスが違う。


それはさておき、面白かった。本当に面白かった。忘れないうちに箇条書きっぽく感想を。

昔に小説やルールブックで読んで想像を膨らませた世界が、ドット絵から想像を広げた世界が、アニメや美麗なCGで表現されていた世界が実写で目の前にある興奮と感動は筆舌に尽くしがたいものでした。

で、完全に順序が逆なんですが、実写で表現される色んな表現、演出が、どれもこれもRPGと言われるゲームの定番のものばかりなんです。だってRPGそのものの礎たる作品ですものね。

別に中世ヨーロッパが好きな訳じゃない、ファンタジー世界が好きな訳じゃない。自分がワクワクして夢中になる世界に、たまたまそういう分類名が付けられていただけ。この映画は、ジャンルはアクション、舞台はファンタジー世界なのかもしれませんが、だから面白い訳じゃなくて、観ていて面白かった映画がたまたまそういうジャンルだったように感じました。

2時間ちょっとの映画なんですが、展開がとにかく早いんです。最初に大きな目的が提示されて、それをこなす為に小さな目標を達成していく、その積み重ねで物語が進んでいく。RPGで言う最初に物語全体の大きなクエストが提示されて、それを達成する為に小さなクエストをこなしていく、その中で目的に近づいていく。

大作映画ならではの溜め、と言うか中だるみが本当に全然ありませんでした。小さなクエストをこなすと言うか、全体が全10章ぐらいのチャプタに分けられていて、チャプタがシームレスに切り替わっていくような感じ。本当に10分ぐらいで一つの山場が終わって区切りがついたと思ったらすぐ次の山場に向かうって感じで展開の疾走感がすごかったです。でも、駆け足だとは全く思わない。

勧めてくれた人に、開始5分で笑える、みたいな事を聞いていたんですが、久々に劇場で声を出して笑いました。牢屋での弁明中に話を戻して、戻りすぎ!って言われる部分と、死者に質問をするシーン。多分、勧めてくれた人は前者の事を言っていたのかな、と。

今回は吹替で観たんですが、テンポ良い展開も相まって日本語での掛け合いが面白さに華を添えてくれたので、個人的には吹替で観て正解でした。日本語の韻を踏んだギャグも結構あったので、翻訳の人が良い仕事してるんだなーと。

最後、船で脱出するシーンで「俺たちの戦いはこれからだ」エンドで終わるのかと思ったら、ちゃんとラスボス倒すところまでして驚きでした。本当に必要な部分だけを抽出して綺麗にまとめてる構成。

モンハンでよく見かけた竜タイプのモンスターの尻尾薙ぎ払いや転がりなんですが、シーンの流れの中で見るととても有効な攻撃手段なんだな、と思ったり。

ホルガが死んだところで展開は予想ついたものの、ちゃんと伏線張ってあったので納得の展開でした。

ソフィーナとの最終決戦が大好き。すごく興奮した。近接戦での敵味方入り乱れての戦闘、しかも4vs1ってのが燃える燃える。効果音が全体的に重くて、魔法を使ってはいるものの泥臭い感じがもう堪らない!

全体的に、色んな魔法や変身、ドラゴンとか色んな非現実的要素が出てきているけど、それが絶対的な力を持っている訳じゃなくて、現実と地続きの現象であるっていう表現をしているのがすごく良かった。

最後、綺麗に落として(色んな意味で)終わったなーと思っていたら、最後にもうひと捻りあって笑った。

ドリック可愛い、もう全てが可愛い。最高。

ホルガってあれだけ圧倒的な力を持ってるのに、不器用ゆえに男絡みで悲しいことがあるってのがいいよねえ。元彼と今カノからそれぞれ慰められてる展開の後にエドガンが何も言わずに察してリュート弾き語ってるのが大人の物語だよね。

なんかねー、全体的に見てて本当にすごく楽しかった。とってもワクワクした。加えて笑えてちょっと泣けて、見終わった後はすっきりして。万人に受けるかどうかは分からないけど、少なくても自分を始めとしたRPGで育ったようなオタク気質の人に対しては狂おしく琴線をかき鳴らしてくれる至上のエンタメ映画だと思った。

余談だけど、道中、野原で野営してる人がタープっぽいのをAフレームっぽい張り方してて、Aフレームって張るの簡単でフルクローズになるけど、大きなサイズで張れば実用的なんだなーと妙に感心したり。そして、いろんな部分でキャンプ熱が更に盛り上がってきました。

キャンプに限らず、自分の憧れ、格好良さの原点になっている世界だから、実写で目の前で動いていると色んな部分で心を動かされて、端的に言うとワクワクしっぱなしの映画でした。もうね、建築、仕草、服飾、アクション、すべてが素敵。


2023.04.13追記 書き忘れてたんですが、EDの紙工作の演出がとても素晴らしかった。数分で物語のハイライトを振り返るのはもちろんの事、紙(装丁を含めた本)での演出が、ぼくたちの冒険は本から始まって、空想の翼を広げて巡った物語なんだなってメタ的に想いを馳せさせてくれて、本当に最高でした。

22時過ぎから始まったレイトショウ、観客は5人程度の上映でしたが、エンドロールが終わって無音の中で流れるに日本語版スタッフの表示が終わり劇場が明るくなるまで、誰一人として席を立たなかった空間が、とても幸せでした。




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