Marumaru's TinyPlaza

(2024.10.01)(book)あなたへの挑戦状

『あなたへの挑戦状』/阿津川 辰海, 斜線堂 有紀


ここ最近、斜線堂有紀の小説にはまっていたので、もう一冊読もうと図書館の検索システムを叩いて適当な本を探していました。なんか気になるタイトル。競作みたい。これにしよう。貸し出し中だったらしく、暫くすると用意出来た旨の連絡が入りました。

受け取った本の表紙をめくると封筒が付いていました。『あなたへの挑戦状』ほほぉ、読者への挑戦状が付いている作品なのね。私が最初に『挑戦状』に触れたのは確か子供の頃に読んだ『Yの悲劇』だった気がします。物語の中からメタ的な視点に移り変わり、作者からの言葉が降ってくるという展開に驚いたものです。

それはさておき、ミステリの構成、トリックと言うものはもうあらかた出尽くしたと思っているんですが、視点を変えてみればまだまだあるものなんですね。

競作の小説と聞いて最初に浮かんだのは、同じ物語を男女の視点から描く『冷静と情熱のあいだ』ですが、それとは違った形で、このような競作の形もあるのかと驚きました。

挑戦状の内容は作中にも書いてあるのですが、書籍同梱の封筒に入った挑戦状の便箋を開き、中身を読んだ時に、とても深い愛情を感じました。紙という物理媒体を手で開くという体験は想いを膨らませる力があるのだと改めて思いました。

全く感想になっていませんね。ただ、この小説についての事を書くのは憚られるような気がしました。体験する権利を奪ってはいけない。




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