Marumaru's TinyPlaza

(2025.05.05)(movie)名探偵コナン 隻眼の残像

『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』


※ネタバレありで書いていますのでご注意を








GW恒例のコナンの劇場版を帰省してきた同級生と観てきました。内容がどうこうと言うよりも、同級生を一緒に映画を絡めた時間を過ごせる事に一番の幸せを感じる今日この頃。

しかしコナンの劇場版ですが、完全にロードムービーとしての意味合いが強くなってますね。確実に一定の興行収入を見込める作品ですし、作品規模も大きくなっている定番映画なので自然の流れかもしれません。舞台になっている長野県と国立天文台野辺山の魅力を詰め込んで、鑑賞後は是非長野に行きたいと思わせる内容でした。

後で調べて分かったんですが、作中でこれでもかと強調されていた日本酒「鰐勇」は実在しない銘柄だったんですね。てっきりタイアップのお酒かと思ってしまいました。

物語はとても練られていて時事ネタも絡めた綺麗なものだと感じたんですが、構成を凝るあまりに長編ミステリ小説ばりの展開だったので、セリフでの説明が多く、劇場アニメとしてはどうなのかと少し感じたものの、その辺りを気にしなくても問題なく観られる内容でした。

一番気になったのは上原と大和の関係ですが、この辺りは薄い本が厚くなるのを期待するのが良さそうです。

余談ですが、地域柄、鮫を鰐と呼ぶ文化は知識として知っていたので、ちょっと嬉しかった。

一緒に観に行った友達は、林が周りが全て敵の状態で恋人にも先立たれ、誰も味方がいない状態で全ての不幸を背負っている設定が酷くて笑ってしまった、と言っていたのですが、改めて考えるとそうだよなぁ、と納得する事しきり。

恒例の超人的なアクションについては今更ですが、どっちかと言うと日本が舞台でこれだけの銃撃戦を繰り広げていた方が驚き。今回は毛利さんの活躍が多くて立ち位置が格好良かったです。

後で追記するかもしれませんが、とりあえず初見の感想でした。面白かった。

【20250506.追記】

改めてストーリーを思い出してみると、登場人物ほぼ全て何らかの役割を持っていて本当に綺麗に練られた構成だと思った。ただ、構成がしっかりしている分、少しややこしく感じるところも。特に、警察と公安、検察そして内調辺りの関係は雰囲気で楽しめるけど、正直調べないとよく分からないって人も居るのでは。そしてその辺りを余計にややこしくする「隠れ公安」という存在。

多分本編に関する人間関係について進展があった話だと思うのだけど、自分自身がコナン原作を追っていないので、人間関係や多分原作ファンであれば喜ぶような要素であろう部分を拾えなかったのが残念。原作ファンであれば更に高い解像度で楽しめる映画なんだろうなぁ、と。

最初に天文台の電波望遠鏡が出た時点で、今回はこれが破壊されるのか!?と思ったものだけど、途中で望遠鏡のレーザー照射機能について説明をした上でのクライマックスでの(やや強引とも思える)活躍ぶり。しかも、望遠鏡は破壊せずに観測車の方でアクションを行い、最後の見せ場を望遠鏡で行う徹底っぷり。これは国立天文台野辺山、延いては長野のイメージアップにとても貢献していると思う。各方面に最大限配慮した素晴らしいクライマックスのアクションなのでは。

毛利小五郎の最後のアクションシーン、銃弾を同じ部分に連射しての装甲破壊は往年の名作、シティーハンターの冴羽獠を思い出さずにはいられない世代。毛利小五郎もですが、上原と大和のような大人が真面目に活躍する作品は良いです。次世代に託しながらも大人は泥臭く頑張り決めるところは決める、そんな姿は作品の魅力を下支えしてくれます。



(2025.05.15)(book)オルクセン王国史1

『オルクセン王国史~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~1』/樽見京一郎


いやー、面白かった。

所謂なろう系異世界転生ものに分類されるであろうジャンルで、このジャンルは最初に触れた『異世界のんびり農家』があまり肌に合わなかったので少し避けていたところがありました。

何故ならば、起承転結やピンチをいかに切り抜けるかという部分が物語のキモだと思うのですが、これ系の作品は現実世界の知識を持ったまま異世界に行って、俗に言う「2週目」「強くてニューゲーム」状態で異世界で無双するんですよね。そんなイージーモードでやっているシムシティプレイ動画みたいな物語にどうも面白さを感じられずにいました。

が、この作品は違った。この作品が扱っているのは、軍隊、そしてその中でも兵站についてです。ファンタジー世界で様々な種族の混成部隊を編成するにあたり、鉄道をはじめとした鉄製品、そして魔法が存在する「銃と魔法」の世界での軍隊を中心とした国づくりについて淡々と描かれています。

それがめっぽう面白い。ただでさえ軍事系という馴染みのないジャンルの中で、異種族や魔法要素が入った状態での兵站を如何に構築するかという思考実験めいた物語は読んでいてワクワクしました。

軍事用語を中心に分からない言葉が多く、久々に紙とペンを脇に置いて、分からない単語を書き取りながら読むという事をしてました。もういい年だけど、知らない言葉って本当に多いものです。




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