Marumaru's TinyPlaza

(2011.05.08)(book)少女たちの羅針盤

『少女たちの羅針盤』/水生大海


「第1回 島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の優秀作を受賞した小説。私の住んでいる隣の市が福山市なんですが、今度この本を原作をした映画が福山をロケ地で撮影される事になって知ったタイトル。

この小説は4年前の話と現在の話が章毎に切り替わりながらストーリーが進んでいくんですが、その展開が面白いんですよ。

4年前の話は、演劇部の女子高生達で結成された実力派の劇団「羅針盤」の活躍と、団員一人の謎の死亡という事件提起。現在の話は、とある映画の撮影で洋館を訪れた女優が覚えた違和感--映画の内容が自分が過去に犯した殺人にそっくりだった--と言う解決編。

現在の話も過去の話の繋がりは最初は分からないんですが、それぞれに面白い話なので先が気になって読んでしまうんです。そして、それぞれの話の良いところで「次回に続く!」とばかりに時代が切り替わります。

そんな事をされたらますます気になってしまって頁を進めてしまいます。そして、物語が進むにつれて現在と過去を繋ぐ話の糸が見えてくるんです。このスピード感と話の盛り上がりは本当に面白い。

何より、過去の話が「演劇好きな女子高生4人が劇団を立ち上げる」と言う青春モノなんですが、ここだけでも十分に面白いです。何かの目標に向かって突っ走る青春ストーリーってのは面白くない訳がないですからね。単に自分の好みと言うのもありますけど。

そして、そこに絡んで来るミステリ的な展開。トリックはシンプルなんですが、どちらかと言うとフーダニットです。動機に関連する心理描写が上手いと思った。最後はまんまと騙されました(笑)

割合としては、青春:ミステリが7:3といった感じ。新書サイズで分量的にもさくっと読めて内容も面白い。読後感も爽やかなお勧めの本です。




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