Marumaru's TinyPlaza

(2011.08.12)(book)扉の外

『扉の外』(全3巻)/土橋 真二郎


目が覚めるとクラス全員が見知らぬシェルターのような場所に閉じ込められ、腕には見知らぬ腕輪が嵌められていた。そしてソフィアと名乗る人工知能がクラスメイトに"ルール"を説明する。曰く、「私に従えばここでの命の保証をしますよ」と。そんな中、早々に腕輪を外しルールから外れた主人公を取り巻くお話。

集団が閉鎖空間に閉じ込めらた状態で、ルールに従いゲームを行うんですが、ルールに隠された意図やルールを上手く使った展開、そして疑心暗鬼になってぎくしゃくする人間関係……この辺りの要素が好きなら一気に読んでしまう一冊だと思います。「バトルロワイヤル」「カイジ」「ダンガンロンパ」辺りが好きな人は多分好きなんじゃないかなと思う本です。

逆に、設定ありきなところがあるので、「何故そういう状況になったか?」と言う理由付けが弱いです。そしてぶっちゃけラストも大団円でスッキリ!と言う訳ではないです。理由なんて要らないから極限状況におけるゲームと人間関係描写が楽しめたら良い。と言う割り切りが必要かもしれません。そう言う意味では「セカイ系」と言えるかもしれません。

同じ作者の『生贄のジレンマ』を読んだ時にも同じような事を感じましたが、『扉の外』を読んだ後だと、『生贄のジレンマ』の作品としての完成度の高さに改めて気付きました。

だけど、どちらが面白いと言う訳ではないです、どちらも伝えたいエッセンスは同じだと感じました。『扉の外』はデビュー作だけあって伝えたい事がストレートに伝わってきます。

なんだかんだと書きましたが、方向性が好きな人にはとことん好きな作者だと思います。私はたぶんこれからこの作者の作品を読み漁ると思う。

でも、これだけいい設定を作るんだから最後をスッキリとさせて終えて欲しいなぁ……それだけが本当に残念。この『扉の外』も『生贄のジレンマ』も。そして、確信に近い予想を抱いてしまうこれから読む他の作品についても。




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