Marumaru's TinyPlaza

(2012.02.22)(book)七十歳死亡法案、可決

『七十歳死亡法案、可決』/垣谷 美雨


高齢化社会が進み、社会保障費の増大による国家財政難に直面し「日本国籍を有する七十歳以上の国民は誕生日から30日以内に死ななければならない」という七十歳死亡法案が可決された近未来が舞台のお話。

ショートショートの内容を膨らませて一本の話にしたような内容で、さくっと手軽に読める一冊です。

高齢化が進行する中、日本がこれから直面していく問題を「死亡」と言う一番身近な事実と「可決」と言う強制力で無理やりに考えざるを得ない状態にさせています。家族や親族、それぞれの立場の人達が自分の立ち位置を再構成され、やるべき事を再確認させられる話の作りは読んでいて面白かった。

物語で取り上げられていたモデルケースがあまりにも理想的すぎて、この物語を作る為に作った家族構成なんじゃないかと思ったりもしましたが、それは物語なので仕方ないです。

家族って何だろう……なんて言うと漠然としすぎていますが、家族構成の変化による立ち位置の変動は誰しもが直面する問題です。その時、皆が前向きに立ち位置を移動すれば、こんな未来が訪れるかもしれない。だから問題と向き合って考えることを忘れては行けない。そんな事を考えさせられました。




<(2012.02.20)(book)君がいなくても平気 (2012.02.23)倉敷で次郎系のラーメンを食べてきた>