Marumaru's TinyPlaza

(2012.03.25)(game)善人シボウデス

『善人シボウデス』(3DS版)/CHUNSOFT


※出来るだけ核心についてはぼかして書きますが、ネタばれをしているのでプレイ予定の方は注意。







「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(以下、YU-NO)と「ダンガンロンパ」、「シュタインズゲート」そして同シナリオライターの「EVER17」を足してプロットを作ったけれど風呂敷を畳み忘れて終わった作品。それが素直な感想でした。

次回作を匂わせていましたが、だったら最初からそう宣言して欲しい。1本のパッケージソフトとして買ってこの終わり方は疑問を感じざるを得ない部分もありました。

前作である「9人9時間9つの扉」(以下、前作)との関わり合いにしても、確かに完全に続編とは言い切れないところもあるけれど、今作中での前作キャラの役割的に前作をプレイしておいた方が楽しめるのは間違いないと思います。何より、今作中で入る前作の解説が核心部分のネタばれをさらりと含んだものでしたし。

ストーリーに関して

いろんな要素がこれでも詰め込まれたストーリーですが、結局のところストーリー中の登場人物に意志を感じられなかったんです。芯が通っていて肉付けした感じではなくて、色んな要素で固めたものがストーリーになりました、と言う感じで。

前作の「9人9時間9つの扉」はその点がはっきりと示されていたんです。確かに出てくる概念は難しいものでしたが、ストーリーの概論は「誰が○○をする為の話」と一言で言えました。でも、今回は巻き込まれるだけ巻き込まれた主人公が、さあ目的も見えてこれからだ!ってところで終わってしまったので、本当に消化不良。

それと、システムにも絡んだ話ですが、フローチャートが最初から全部見えすぎ、理路整然と綺麗に分かれすぎって言うのは作業感を増すだけだと思うんだ。そのチャートを埋めながら展開していくストーリーは確かに盛り上がったけれど、手段と目的が逆になっているような気がしました。YU-NOのA.D.M.Sと宝玉セーブを組み合わせたゲームデザインの秀逸さを今更感じました。

謎解きパートに関して

全部の謎解きパート共通で扉を開く為のパスワードが設定されて、一度クリアしてパスワードを知っていれば2回目からはいきなりクリア出来るのは嬉しい。前作は繰り返しプレイ前提なのに一度クリアした謎解きパートを「順を追って」何度もプレイする必要があったのが面倒だったので、この仕様は嬉しいです。

謎解きに関しては全体的にちょっと難しくなっている感じで、メモを取りながら考える必要のある謎が多いので3DSの手書きメモが大活躍でした。謎を解きながら手書きメモやアイテムを見られるようにしているインターフェイスは使いやすかった。

難易度設定もあって、どうしても解けない時はほとんど答えのようなヒントをくれるので謎解きパートで詰まる事もないと思います。

解くのに頭をひねりながら結構な時間を使った謎解きパートは、解けると純粋にすごく嬉しいんですが、ストーリー的に意味はあるにしてもストーリーに特に絡んでないんですよね。だから、ストーリーの続きを追いたいのに直接関係のない謎解きパートに突入するとちょっと気持ちが折れるところはありました。

声優さんに関して

田村ゆかり、能登麻美子、釘宮理恵とツインエンジェルの3人娘がメインキャラクターで全員出演していると言う個人的に嬉しい配役の作品でした。今更ですが、能登麻美子さんの演技って本当に上手ですね。能登さんの演技は、替わりの人がいないポジションだと思うんだ。

それに榊原良子や沢城みゆきと声優さんにかなり力を入れている感じ。ほとんどのパートで声が入っているんですが、声優さんの演技のせいもあってスキップせずに自然に聞けました。

まとめ

自分の好きな要素がこれでもかと詰め込まれている作品なんですが、お腹いっぱい感があります。最後の終わり方が風呂敷を広げるだけ広げて終わったので「え?これで終わり?」と感じたのが大きいかも。

何と言うか、YU-NOの出来の良さを改めて実感しました。YU-NOをプレイした当時は終わり方に疑問を持ったりもしましたが、こういう展開ならYU-NOの終わり方が究極なんじゃないかとすら思ってしまいました。

何だかんだで30時間強を一気にプレイしたゲームなので、面白いゲームである事は間違いないんです。だけと手放しでは人に勧められない。

余談ですが、時間で言うと結構な割合を占めている移動の演出と飛ばせないエンディングには何か意味があったんでしょうか。

最後に、キャラクターの中ではルナが一番良かったです、ED込みで。定番と言われるかもしれないけれど、ルナENDのようなお話に弱いんです。


p.s.

全体的にYU-NO礼賛で終わってしまいました。嫌悪感を覚えた人はすみません。一度、このエントリー中で挙げたゲームタイトルを全部プレイしている人と話してみたい。




<(2012.03.19)アルバトリオン討伐とか (2012.03.26)(book) 贖罪の奏鳴曲(ソナタ)>