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(2013.03.08)(book)ビブリア古書堂の事件手帖4

『ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~』/三上延


待望の新刊。4巻に入って物語が動いてきました。

大輔と栞子さんの仲も、栞子さんと母親の関係も。そして、初めて明かされる人間関係も。前巻の後書きでも作者が書いていた気がしましたが、4巻ぐらいで主要人物は出揃って、これからは物語全体の大筋が収束に向かっていくみたいですね。

それまでは本の虫だった栞子さんの心が少しずつ大輔に向かっていく、大輔に対して心を許していくような展開がたまりません。栞子さんと大輔の関係に惹かれる理由は、二人の関係が所謂「ヒトとAI」モノのそれに近いからかもしれません。

STG「式神の城2」の結城小夜ストーリーとでも言いましょうか。自分の感情に気付いた栞子さんから紡がれる拙い表現がなんとも言えず愛くるしいんです。思わず遠くから見守りたくなります。

そして、その感情を持った事で、「本の虫」が背負う業のようなものから解き放たれたような気もしました。ネタばれになるので詳しくは書きませんけど、あのシーンは良かったですよね。

4巻の扱われる題材は江戸川乱歩。名前は知っているものの、ホラー風味の児童書と言うイメージがなんとなく頭の中にあって今まで読んでいなかったのですが、これをきっかけに何冊か読んでみようと言う気にさせてくれました。

ビブリアの中に登場する本は、書評のように本自体の感想を書いている訳ではなくて、本や作者にまつわる物語を通じて紹介してくれるおかげで、今まで知らない作家や本でもとても興味が沸くんです。

例えば歌にしてもそうですよね。いつまでもずっと心に残っている大好きな歌と言うのは、歌自体の出来もそうですけれど、それを聞いていた時の心境、時代、記憶、etc…そういったものが絡みついて自分の中で物語になってるんです。そんな、本にまつわるちょっと不思議な物語を一緒に追体験させてくれる、今までにありそうで無かったジャンルです。

ビブリアの魅力って「栞子さんと大輔の恋模様」、「栞子さんの人間関係」、「本に纏わる不思議なお話」が三位一体となって楽しめるところだと思うんですよね。

でもまあ、4巻は栞子さんの可愛さを強調する場面が急に増えて、どうしちゃったの?方向転換したの!?と思ったりもしましたが、それはそれで大好物なので問題ないです。いいぞもっとやれ。




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