Marumaru's TinyPlaza

(2015.08.13)(book)フェルマーの最終定理

『フェルマーの最終定理』/サイモン シン(著)、青木 薫(翻訳)


私がフェルマーの最終定理にまつわる物語を知ったのは、以前にネットで読んだまとめサイトからでした。

フェルマーの最終定理証明までの話を、関わった人達に焦点をあて、ストーリーとして読みやすく、面白くまとめられていました。

上記サイトで最終定理について興味を持っていたので、この文庫本を読んでみました。

この本は、人物もそうですが、古代ギリシャのピュタゴラスから脈々と受け継がれ進化を続けている、数学の歴史に焦点をあてて書かれています。

物語としての進行に支障がない範囲で、数々の数学理論について分かりやすく説明をしてくれているので、フェルマーの最終定理が証明される過程で生み出されたテクニックについての理解が深まって、尚更楽しめました。

巻末に補遺として、より突っ込んだ内容の解説があるんですが、そこが分かりやすく書かれていて面白かった。補遺の最初で、有名な三平方の定理の証明があったんですが、この証明って改めてみると本当に綺麗です。いきなり、証明で感動させるとかずるい!って思ってしまいました。

余談ですが、私は学生時代に数学が苦手で「なんでこんなのやるの??」と思っていました。ですが、この本で数学の色々な概念が生まれた理由を知るとすごく納得出来たんです。それと数学が解けるのはまた別問題でしょうが、少なくてもとっかかりの印象は違ったはずです。

今更こんな事を書くのもすごく恥ずかしいんですが、数学の平方根(ルート)や虚数(i)は、今の時代に一から勉強しようとすると、その存在に疑問を持ってしまいました。

例えば平方根、2乗すると2になる数は無限に続く少数なので、その正確な値は数字だと標記出来ない。だから、2乗して2になる数を表す方法として平方根という概念を新しく作る必要があった。

例えば虚数、2乗すると-1になる数は、数字では表せない。だけど計算上必要になるから、2乗すると-1になる数を表す為に新しく出来た概念だったんですね。

数学ではすべてのものを定義し表す必要がある。だから今までの方法だと表現出来ない値が出てくる度に、新しい概念を作って拡張してきた世界だったんですね。「なんであるんだろう?」じゃなくて、「必要だから新しく作った」のだと理解した時に、考え方が変わったような気がしました。

学生時代はそんな事を深く考えずに、公式に当てはめてただ問題を解いていましたが、当時こういう事を考えていたら、数学を途中で挫折しないですんだの……かもしれません。

しかし、今になって思い返してみると、文系だから数Ⅱと数Bまでしかやってないとはいえ、高校数学ってかなり高度な事をやってたんだなぁ、と。一般人的には、数学の必要性とは、新しい概念を理解して吸収する力を鍛える学問のような気がします。

本の感想とは関係ない事を書いてしまいましたが、非常に好奇心を刺激される面白い本でした。




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