Marumaru's TinyPlaza

(2015.09.16)(book)オークブリッジ邸の笑わない貴婦人

『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人―新人メイドと秘密の写真―』/太田紫織

<book>

19世紀のイギリス暮らしに傾倒して、北海道に19世紀風のお屋敷を建て、そこで余生を送る事を決めた貴婦人のもとに住み込みで働く事になった若い女性が主人公のお話。

メイドさんって、どうやっても過去の文化だから、現代の中に入れ込もうとすると違和感が生じるのは止むを得ないところだと思います。じゃあ、今を生きる人が本当のメイドさんに触れるには?という問いに「当時のメイドさんが存在出来る、19世紀の生活とバックボーンを構築する」という真っ向からのアンサーを提示してくれた作品です。

この話を象徴するのが、作中の奥様の台詞、『私が偽物だから、私は本物に拘らなくてはならない』

伊達や酔狂じゃなくて、余生の全てを投げ打ってこの暮らしをする覚悟に溢れてます。連載作品だったらしく、後半の話で、19世紀生活を始めた理由等について触れられており、紆余曲折を経て物語としての終わりを迎えますが、正直続けようと思えばいくらでも続けられそうな作品なので、シリーズ物として続きがよみたいところ。

時代考証がエマ等で御馴染みの村山リコさんなので、安心して19世紀の英国に浸れます。




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