Marumaru's TinyPlaza

(2023.05.16)(book)そして誰もいなくなった

『そして誰もいなくなった』/アガサ・クリスティー(青木久惠 訳)


往年の名作を今更。

トルネコやシレン、各種ローグライクで育った世代が今になってテキストベースのRogueに触れて、当時と同じ新鮮さと楽しさを感じられるのかという問題はあります。

ただ、やはり原点が頂点。自分が今までに触れた数々の作品がこの作品に多大な影響を受けている事を再確認して、原点ならではの何も無駄のないクローズドサークルもの、見立て殺人ものの妙を味わう事が出来ました。

しかし、改めて思うのはこの作品が書かれた1930年代と言うのはミステリの舞台として最高の時代ですね。館(そもそも館が普通に現存する時代)に集められた人達の前で各人の罪状を読み上げる音声。それがレコードに蓄音機のスピーカー。それだけで雰囲気が盛り上がります。今だとスマフォなりICレコーダーに録音された音声になるんでしょうし。

これを当時に読んでいたら本当に衝撃だったんだろうなぁ。でも、この作品があったおかげでその後に続く作品が色々登場して、自分はそれを享受出来ている訳で。

最後に。本当に綺麗な構成だと思ったんですが、今の自分の感覚で読むとヴェラの最後にちょっと違和感を覚えました。ただ、そうしないと物語が終わりませんものね。




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