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(2024.07.04)(book)りゅうおうのおしごと! 19巻

『りゅうおうのおしごと!』19巻/白鳥士郎


ラスト2巻!と言う事で物語が盛り上がってきました。

フィクションと現実が切磋琢磨して鎬を削り、現実の方がフィクション顔負けの状態になっている現在の棋界ですが、フィクションならではの強みを見せて差別化を図っていて、更には登場人物同士の関係も最高潮を迎えようとしています。この作品、なんでこんなに面白いんだろう。

しかし、現実もフィクションもAIによる研究が主流となり、人間の一生分の研究の何倍もの試行を重ねたAIが作った棋譜が勝利には不可欠なものとなる中。それはでプロ棋士の存在とは何なのだろうか?という問題が常に付きまといます。

そんな中、あいが聞き手を務めた対局が終局を迎えた時に紡いだ言葉「お二人で創り上げた美しい作品が、この手で完成しました」まさにこれなんですよね。勝負であるから勝利を目指すのは当然、だけれど勝ち負けを競い合う中で、二人の棋士が自分の人生を背負って打つ手、それが創り出す棋譜はAI同士が作る棋譜とはまた違った意味があると思っています。

この作品のこの話をする度に幾度となく引き合いに出していますが、藤井聡太先生が以前に仰られた「今の時代においても、将棋界の盤上の物語は不変だと思います。その価値を自分自身、伝えられればと思っています」が本当に全てなんですよね。様々なものを背負った個性豊かな棋士達が、将棋盤という舞台の上でお互いに紡いでいく物語をこれからも感じていたい。

そして感想戦。まさかこの二人がこう繋がるとか思わなかった。特に桂香さんは好きなキャラだけど将棋面ではもうあまり活躍が無さそうな感じだったから、この展開は嬉しい限り。物語の中だけでもいい、コツコツ頑張っている人が報われる展開は嬉しい。




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